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日本通運、点呼と車両点検を非対面で実施するためのスマホアプリを開発へ

DIGITAL X 編集部
2021年4月19日

日本通運は、運行前後に義務付けられているドライバーの点呼と車両の点検業務のためのスマートフォン用アプリを開発する。省力化と精度を高めながら、すべての業務を非対面で実施できるようにする。2021年3月29日に発表した。

 日本通運は「点呼・運行前点検システム」をスマートフォン用アプリケーションとして、NTTドコモと共同で開発する。2021年4月1日から9月30日までを開発期間とし、日通グループ各社や協力会社における点呼・点検業務の精度を高めつつ効率化を図る。NTTドコモは2022年度以降の商用化も目標にする。

図1:点呼・運行前点検システムの概要

 点呼・運行前点検システムは、点呼システムと運行前点検システムをクラウド上で連携させて実現し、点呼業務を非対面で実施できるようにする(図1)。営業所で対面で実施している通常点呼のほか、宿泊を伴う運送業務における遠隔点呼や、2泊以上の業務で実施する中間点呼にも対応する。点検の実施をプッシュ型で通知するワークフローの機能も搭載する。

 点呼システムでは、運転免許証や車検証の有効期限、アルコールチェック、血圧、体温、メンタルなどの状況健康状態などをスマホを使って取得し・管理する。運転免許の内容は免許証搭載のICを、車検証はバーコードをスマホアプリで読み取り、アルコールチェックや健康状態は各測定機器とデータ連携を図る。

 運行前点検システムは、ドライバーが乗車する車両を点検ハンマー等を使って点検した結果を手書きしている帳票をデジタル化するもの。点検項目をスマホ画面に提示して点検漏れを防ぐほか、整備管理者が承認した結果を点呼システムに送信する。

 日通とNTTドコモは、2018年6月から2021年3月まで点呼業務を対象にした共同研究を進めてきた。国土交通省が募集した「平成30年度交通運輸技術開発推進制度」に応募した「機械化技術の採用による点呼の精度向上の研究(3か年)」である。点呼システムについては、日通の東京と鹿児島の2カ所の営業所で実証実験を実施し、その有効性を確認したとしている。

 運送業務においては運行前後の点呼/点検が、国の「貨物自動車運送事業輸送安全規則」により義務付けられている。ただ運行管理者の業務は、ドライバーの労務管理から、運行スケジュール管理、教育など多岐にわたる。車両数が多い営業所は複数の運行管理者を選任せねばならず、管理者間の情報共有が難しいこともある。

 ネット事業の広がりに伴い配送量が増える一方で、運輸業界の人手不足から点呼の精度・効率を高めることも課題の1つになっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本通運
業種物流
地域東京都港区(本社)
課題点呼業務の精度を高め省力化・効率化を図りつつ点検業務の非接触化を図りたい
解決の仕組み点呼および車両の点検業務で発生するデータをスマートフォン用アプリケーションを使って収集し、クラウド上で一元管理する
推進母体/体制日本通運、NTTドコモ
活用しているデータドライバーの運転免許証や車検証の記載内容、アルコールチェック、健康状態、運行前点検の車両の点検結果など
採用している製品/サービス/技術スマホアプリ「点呼・運行前点検システム」(日通とNTTドコモの共同開発)
稼働時期2020年4月1日から9月30日(スマホ用アプリの開発期間)