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沖縄ICカード、ブロックチェーン技術を使ったMaaSのためのデータ共有基盤の有効性を確認

DIGITAL X 編集部
2021年4月28日

沖縄ICカードらは、沖縄版MaaS(Mobility as as Service)を実現するために、ブロックチェーン技術を用いて構築したデータ共有基盤の実証実験を実施し、その有用性を確認した。2021年4月12日に発表した。

 沖縄版MaaS(Mobility as as Service)である「OKICA♥MaaS」は、沖縄ICカードが発行する交通系ICカード「OKICA」を使って、すべての公共交通機関を利用可能にする取り組みだ。駐車場など交通以外のサービスとの連携も図る。

 沖縄県は、公共交通機関の利用率が低く慢性的な交通渋滞が発生している。地方公共団体や交通事業者は、公共交通の利便性を高めるための施策の検討に、国勢調査などの統計データを利用している。だが、国勢調査は5年ごとに実施されるため交通実態と合わないという課題がある。

 今回、これら課題を解決するために、移動関連データを匿名化して共有・活用するためのデータ基盤をブロックチェーン技術を使って開発(図1)。同基盤の有効性を検証するための実証実験を、沖縄県那覇市と豊見城市で2021年3月15日から3月17日にかけて実施した。

図1:MaaSデータプラットフォームのイメージ

 実験では、各種交通サービス利用者の乗降時間や乗降場所といった移動関連データを、移動手段ごとに異なるIDを付し、匿名化したうえでデータ基盤に蓄積した。その移動に関連するデータを地方公共団体や事業者間で共有し、地域の活性化施策に活用できることを確認したという(図2)。

図2:移動関連データの蓄積・共有のイメージ

 観光地などでの渋滞を解消するために、クルマは近郊の駐車場に止め、そこからは公共交通機関を利用するパーク&ライドを想定し、交通系サービスと非交通系サービスの連携も検証した。そのために異なる事業者が提供する駐車場サービスと交通サービスの利用を一連の利用として記録・把握する仕組みを実装した。

 結果。ブロックチェーンのスマートコントラクト機能を使えば、個人情報を使わなくても複数サービスの利用状況が把握でき、利用に応じたクーポンの発行など利用促進施策にも利用できることを確認できたとしている。

 さらに、沖縄ICカードが提供する複合経路検索サービス「のりものNAVI Okinawa」の利用データと、交通機関が持つ利用者の移動関連データを統合し、レポート形式で可視化できることも確認した。

 今回の実証実験に参加したのは、沖縄ICカード、沖縄しまたて協会、モバイルクリエイト、ノット、NTTドコモ、NTTテクノクロス、アドビ、エクスチュア、日本システム技術、大和情報サービスの10の組織(表1)。今後は、OKICA♥MaaSの社会実装に向けた取り組みを推進する。

表1:「OKICA♥MaaS」のためのデータ基盤の実証実験への参加者と、それぞれの役割
社名役割
沖縄ICカード全体企画および調整
「のりものNAVI Okinawa」利用データの提供
バス乗降に関するOKICA利用データの提供
沖縄しまたて協会地方公共団体や地域住民が抱える交通課題などを踏まえたアドバイス
地方公共団体などが進める都市計画や地域住民向け交通施策などとの連携(MaaSレベル4)に向けた検討・支援
モバイルクリエイト「のりものNAVI Okinawa」のシステム構築ならびにOKICA各サービスシステムの構築
ノット「のりものNAVI Okinawa」のUI/UXの企画
プロモーションの企画・制作
NTTドコモ全体企画および調整、実証実験全体の取りまとめ
移動関連データのレポート作成
NTTテクノクロスブロックチェーンサービスの提供
ブロックチェーンサービスで収集した移動データの提供
アドビ「のりものNAVI Okinawa」における分析ソリューション「Adobe Analytics」の運用支援
エクスチュアAdobe Analyticsを活用した「のりものNAVI Okinawa」利用データレポートの作成
日本システム技術ブロックチェーンサービスで収集した移動データのレポート作成
大和情報サービス実証フィールドの提供、施設の利用許可取得
商業施設との連携に向けたアドバイス
デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名沖縄ICカード
業種交通
地域沖縄県那覇市および豊見城市
課題沖縄ICカードが発行する交通系ICカード「OKICA」を使って、すべての公共交通機関を利用できるMaaS「OKICA♥MaaS」を社会実装したい
解決の仕組みブロックチェーン技術を使った移動関連データを共有・分析できるだけのデータ基盤を確立する
推進母体/体制沖縄ICカード、沖縄しまたて協会、モバイルクリエイト、ノット、NTTドコモ、NTTテクノクロス、アドビ、エクスチュア、日本システム技術、大和情報サービス
活用しているデータ公共交通機関および駐車場の利用データ、複合経路検索サービスの利用データなど
採用している製品/サービス/技術交通系ICカード「OKICA」(沖縄ICカード製)、分析ソリューション「Adobe Analytics」(アドビ製)、MaaS技術やブロックチェーン技術、
稼働時期2021年3月15日~3月17日(実証実験の実施期間)