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日立造船、事業や工場を横断するIoT基盤のデータを全社的なデジタル化の加速に向けデータ分析を効率化

DIGITAL X 編集部
2021年5月13日

日立造船は、複数の事業部や工場から集めたIoT(Internet of Things:モノのインターネット)データを活用するためのデータ分析基盤を構築した。大規模データの処理を可能にするとともに、個々の案件から得られる知識の共有を図る。基盤構築を支援したメソドロジックが2021年4月21日に発表した。

 日立造船が構築したのは、全社横断的なデータ分析を可能にするためのプラットフォーム(基盤)。大規模データの分析と分析に利用する機械学習システムの運用効率を高めるのが目的だ(図1)。

図1:日立造船が導入したデータ分析基盤の構成

 同社は現在、全社のデジタル化を加速するために事業部や工場にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムの導入を進めている。分析対象になるデータ量は増大する一方で、大規模データに対応できる分析環境の必要性が高まっていた。

 加えて、データ分析者が個々の案件で得られる知識を共有するための仕組みや、データ活用における機械学習モデルを継続的に開発・維持するための環境も必要だった。

 そこでデータモデリングやアーキテクチャー設計を手掛けるメソドロジックの支援をうけながら、全社で共有するデータ分析基盤を構築した(図2)。統合データ分析基盤「レイクハウス・プラットフォーム」(米Databricks製)を利用する。採用に向けて日立造船は、各機能を5カ月間、検証・評価したという。

図2:日立造船の課題・検討事項に対するメソドロジックの提案

 レイクハウスは、分散処理エンジン「Apache Spark」を搭載し、ストリーミング処理とバッチ処理の両方に対応する。Sparkに特化したストレージソフトウェア「Delta Lake」により、高速かつ高信頼なデータパイプラインを構築しているという。

 データ分析者向けには、機械学習のライフサイクルを管理するOSS(オープンソースソフトウェア)である「ML flow」を使って、協働型のシステム開発によるノウハウ共有やデータ調査、モデル構築を集約して実行できるようにした。

 日立造船は2018年に「Hitz先端情報技術センター」の運用を開始し、遠隔監視やIoT、ビッグデータ、AI(人工知能)といった技術の活用に取り組んできた。ごみ焼却炉発電施設を対象に遠隔監視・運転支援の仕組みを稼働させて以後、全社へのIoTシステムの導入を進めている。

 今後は、データ分析基盤を使って様々なデータを分析し、事業製品や工場でのデータ活用を推進する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日立造船
業種製造
地域大阪市(本社)
課題大規模なIoTデータを効率的に処理したり、IoTデータの分析で得たナレッジを共通したりするための仕組みを構築したい
解決の仕組み全社のIoTデータを統合的に分析できるデータ分析基盤を構築する
推進母体/体制日立造船、メソドロジック、米Databricks
活用しているデータ風力発電、水処理工場、発電所などに導入したIoTシステムで取得するデータ
採用している製品/サービス/技術統合データ分析基盤「レイクハウス・プラットフォーム」(米Databricks製)