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三菱重工業、CO2の流通を可視化するデジタルツインを日本IBMと共同で構築へ

DIGITAL X 編集部
2021年5月20日

三菱重工業は、CO2の流通を可視化するためのデジタルツインを日本IBMと共同で構築する。ブロックチェーン技術やAI(人工知能)技術を活用し、回収後のCO2の用途拡大を図るのが目的だ。2021年5月6日に発表した。

 三菱重工業が日本IBMとともに構築する「CO2NNEX(コネックス)」は、CO2の流通を対象にしたデジタルツイン(図1)。CO2の排出から回収、再利用までの流通全体を可視化することで、再利用のための用途拡大を図ると共に、CO2の流通に関する証跡を残すことで投資やコストの観点からの検証を可能にする。2021年5月から、CO2NNEXのPoC(概念検証)を開始し、具体的な検討を進めていく。

図1:CO2の流通を可視化する「CO2NNEX(コネックス)」の概念

 CO2NNEXの構築において三菱重工は、実社会(フィジカル世界)におけるインフラ構築の検証を担当する。CO2の排出から回収、圧縮、輸送、貯留、分配、利用など要所にスマートメーターを設置するなどで、CO2流通における物理量や状態を監視し、データを有効利用できるようにする。

 一方の日本IBMは、仮想社会(サイバー世界)におけるCO2流通のデータ基盤を構築する。証跡管理のためにブロックチェーン技術の「IBM Blockchain Platform」を使うほか、AI(人工知能)技術を使ったバリューチェーンの可視化・自動化・最適化を可能にする計画だ。

 環境問題への関心が高まるなか各国が、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指し始めている。そのための施策の1つとして、CO2を回収し貯留や転換利用を進める「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage:二酸化炭素回収・有効利用・貯留)への期待が高まっている。

 CO2の資源化需要を高めるには、CCUSのバリューチェーンにおける現状の課題を顕在化させるとともに、CO2の回収から輸送、貯留、分配、転換利用までのCO2流通全体を可視化するともに、プロセスを最適化できる仕組みが必要だとされる。

 ただCO2の流通では現状、回収後の総量や移送量、購買量、貯留量など個々のフェーズでしかとらえられておらず、廃棄コストを払って貯留するか価値資源として取引するかのいずれかにとどまっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三菱重工業
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題CO2の流通全体を可視化し、回収したCO2の再利用用途を拡大したい
解決の仕組みCO2の排出から回収、圧縮、輸送、貯留、分配、再利用までの流通全体をブロックチェーン技術を使って可視化し、AI技術でプロセスの自動化・最適化を図る
推進母体/体制三菱重工業、日本IBM
活用しているデータCO2の流通過程における総量や移送量、購買量、貯留量などの情報
採用している製品/サービス/技術CO2の物理量や状態を監視するためのスマートメーター(三菱重工が設置)。「IBM Blockchain Platform」、AI技術、マルチクラウド環境(日本IBMが提供)
稼働時期2021年5月(PoCの開始時期)