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カナモト、建設機械を5Gネットワークで遠隔操縦する実証実験に成功

DIGITAL X 編集部
2021年5月26日

建機レンタル大手のカナモトは、建設機械の遠隔操縦に5G通信ネットワークが持つ優先制御機能と閉域網を使用した実証実験を実施し、十分に機能することを確認した。ソフトバンクと協働で実施した。2021年5月12日に発表した。

 建設機械レンタル大手のカナモトは、自社開発した遠隔制御装置「KanaRobo(カナロボ)」を搭載した建設機械(バックホー)を、5G(第5世代移動通信システム)を使って操作室から遠隔操縦する実証実験を実施した(図1)。KanaRoboは建機の運転席に載せる双椀双脚の人型ロボット。人がKanaRoboを遠隔操作することで建機を操縦する。

図1:遠隔制御ロボ「KanaRobo」と5G通信を使った実証実験のイメージ

 実験では、危険な作業も多い建設現場における遠隔作業において、5Gの大容量通信に加えて、無線区間/伝送区間で安定性を確保できるかどうかを検証した。

 通信環境としては、LTEのネットワークに優先制御機能として帯域制御を付与した実験局を使用し、ソフトバンクの閉域網サービス「SmartVPN」を使用した。SmartVPNは、IPトラフィックの増加やクラウド市場の拡大を背景に、クラウドとの親和性の高めたVPN(仮想私設網)サービスである。

 結果、無線区間を優先制御により安定させ、伝送区間を閉域網にすることで映像の遅延を短縮できたという(図2)。建機にはカメラを4台装着した。閉域網内ではバックホーと操作室が直接通信することで、操作信号の揺らぎを軽減でき、操縦者は遠隔から違和感なく建機を操縦できることを確認した。

図2:実証実験時の様子

 カナモトとソフトバンクは、遠隔操縦の商用サービスの実現性に関する実証実験に2019年から共同で取り組んできた。今後は、天候やネットワークの負荷状態などを考慮した試験を追加で実施し、2022年以降の商用サービスの提供を目指す。遠隔操縦の他に、AI(人工知能)解析ソリューションなどを組み合わせたサービス提供も視野に入れる。

 建設業界では近年、若年就業者の減少による労働力不足が深刻化している。省人化により生産性を高めるために、自動運転や遠隔操縦など様々な実証実験が実施されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、建設業界におけるリモート作業環境構築への期待も高まっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名カナモト
業種建設機械レンタル
地域札幌市(本社)
課題労働力不足、コロナ禍にある建設現場の生産性を高めたい
解決の仕組み無線操縦ロボットを、優先制御機能を付与した5G通信ネットワークを使って遠隔制御する
推進母体/体制カナモト、ソフトバンク
活用しているデータ建設機械にとりつけられたカメラが撮影した映像、作業エリア全体を俯瞰で撮影したカメラの映像、操作信号など
採用している製品/サービス/技術遠隔操縦ロボ「Kana Robo」(カナモト製)、5G通信ネットワークの優先制御機能、閉域網サービスSmartVPN(ソフトバンク製)
稼働時期2019年(遠隔操作の商用化に向けた実証の開始時期)