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イオンリテール、店舗の売り場作りに向けたAI技術の活用を拡大

DIGITAL X 編集部
2021年5月28日

イオンリテールは、店舗での接客品質や売り場の改善効率を高めるのを目的にAI(人工知能)技術の利用を拡大する。店内カメラの映像分析や、状況に応じて適切な価格を設定するシステムなどを導入する。2021年5月13日に発表した。

 イオンリテールは、店頭での新しい買い物体験を提供するためにAI(人工知能)システムの利用を拡大する。1つは、店内に設置する「AIカメラ」。2021年5月中に「イオンスタイル川口」(埼玉県川口市)で約150台をカメラの運用を開始する。2021年度中には約80店舗へと順次拡大する。

 AIカメラは、人物の行動検知技術を搭載し、顧客の動きを検知する。店内映像から顧客の行動を分析し、3密状況の緩和につなげたり、商品を手に取るなど購買意欲の高い顧客を発見して従業員に接客をうながしたりする(図1)。

図1:「AIカメラ」による映像分析を使った店舗運営のイメージ

 体格や服装などの特徴から性別や年代を推定でき、マスク着用時でも顧客属性を把握できる。顧客の人数、属性、回遊の特性を分析することで、データに基づいた売り場の改善も期待する。プライバシーに配慮し、データは個人情報を取得しない形で収集する。

 店内カメラの映像分析技術には「Fujitsu Technical Computing Solution GREENAGES Citywide Surveillance」(富士通製)を採用している。

 もう1つは、販売実績や天候などから適切な割引率を掲示するシステム「AIカカク」。2021年5月13日時点ですでに関東・東海の約140店舗に導入済みだ。2021年7月までに東北を除く本州と四国の約350店舗に導入を完了させる予定である。

 AIカカクは、販売実績や天候・客数などの環境条件を学習し、時間帯ごとに各商品の陳列量に応じて適切な割引率を提示する。専用のハンディターミナルを店頭で担当者が利用する。商品のバーコードを読み取り、陳列数を入力すれば、AIが提示した割引率を印字したシールを携行する発行で印刷し、商品に添付する。値下げや売り切り業務に関わる教育時間が軽減でき、食品ロスの削減も期待する。

図2:「AIカカク」の専用端末(左)と店頭での利用イメージ

 2020年11月から先行導入してきた店舗では、コロッケや天ぷらなどの総菜に関して平均で割引率が2割強改善しており、新たな導入店舗で同程度の効果を見込む。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名イオンリテール
業種流通・小売り
地域千葉市(本社)
課題店舗での接客品質や、売り場づくりの改善効率を高めたい
解決の仕組み店内カメラの映像をAIを使って分析し、顧客の行動や属性を把握したり、販売実績や天候などに応じて適切な価格をAIシステムで提示する
推進母体/体制イオンリテール、富士通
活用しているデータ店内カメラの映像、人物の属性データ、販売実績、天候など
採用している製品/サービス/技術AI映像分析技術「Fujitsu Technical Computing Solution GREENAGES Citywide Surveillance」(富士通製)
稼働時期2021年5月(イオンスタイル川口へのAIカメラの導入時期)、2020年11月(AI価格の先行店舗への導入時期)