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長瀬産業、化学品分析のための味覚センサー技術を米IBMと共同研究

DIGITAL X 編集部
2021年6月1日

長瀬産業は味覚センサー技術を使った化学品分析サービスを米IBMと共同研究している。AI(人工知能)技術による味覚センサーを開発し、主に液体を対象にしたサービスを2023年度に実用化できるようにする。2021年5月18日に発表した。

 長瀬産業が米IBMと共同開発しているのは、主に液体を対象にした化学品分析サービス。そのために、ポータブルな手のひらサイズの味覚センサーを2020年1月から研究している(図1)。スマートフォンと連携し、現場でほぼリアルタイムな化学品の測定が可能になる。

図1:手のひらサイズの味覚センサーを使った化学品分析のイメージ

 まずは2023年度中をめどに、長瀬産業グループ内で各社が取り扱う化学品や食品素材の取引に活用し、グループのサプライチェーンの安心・安全とスピード、安定供給を支えられるようにする。将来的には、グループ外にもサービスとして提供する。

 これまでの実験では、6つの元素を対象にppm(0.0001%)レベルまで測定できる技術を確立した。次の段階として、2022年1月までに、より多様な化学品を対象に検証し、数種類の元素をppb(0.0000001%)レベルまで測定できるよう精度を高めたい考えだ。

 味覚センサーには、IBMがAI(人工知能)技術を使って開発した「HyperTaste(ハイパーテイスト)」技術を使っている。HyperTasteは、味覚成分の組み合わせを学習することで味覚をデータ化する。液体中のイオン分布によるセンシング電極の電圧を示す「電気化学ポテンシャル」の変化から、液体中のイオンなどの成分を分析する。

 今回の共同研究は、IBMが主催する異業種による基礎研究コンソーシアム「IBM Research Frontiers Institute」の取り組みの1つ。研究テーマの1つがHyperTasteで、そこに長瀬産業の化学品や食品素材の取り扱いに関する知見を掛け合わせることで化学品分析サービスに仕立て上げるという。

 一般に化学品取引では、その品質は、メーカー側が評価した「分析証明書(COA:Certificate of Analysis)」により保証される。しかし、分析データの転記ミスや製品ラベルの貼付ミスなどにより分析証明書と製品の現物が異なるケースでは、輸出入者や顧客側での確認が必要になる。

 このようなケースでは現状、分析のための専門機器が必要で、その分析に約1日~数日程度がかかっているという。現場でリアルタイムに化学品を分析できるようになれば、輸出入者や顧客の負担を低減できる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名長瀬産業
業種化学品取扱
地域東京都中央区(本社)
課題化学品取引におけるサプライチェーンの安心・安全、スピード、安定供給を図りたい
解決の仕組みAI技術を応用した味覚センサー技術を使って、現場でリアルタイムに測定できる化学品分析サービスを開発する
推進母体/体制長瀬産業、米IBM
活用しているデータ電気化学ポテンシャル(液体中のイオン分布によるセンシング電極の電圧)の変化から分析する液体中のイオン等の成分値
採用している製品/サービス/技術味覚センサー技術「HyperTaste」(米IBM製)
稼働時期2022年1月(数種類の元素をppbレベルで測定できる技術の開発目標)、2023年度中(長瀬産業グループ内での実用化目標)