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竹中工務店、300年分のデータを建築物の設計・提案に生かすためのデータ分析プロセスを自動化

DIGITAL X 編集部
2021年6月8日

竹中工務店は、300年以上前から蓄積してきた建築物のデータを今後の設計・提案に生かせるよう、データ分析プロセスの自動化を図った。そのためのデータ連基盤を導入した。基盤の機能を提供した米Alteryxの日本法人が2021年5月26日に発表した。

 1610年創業の竹中工務店は、1700年から建築物に関する資料を保有し、電子化を図ってきた。今回、これらのデータを今後の建築物の設計・提案に生かすためのデータ連携基盤を導入し、データ分析プロセスの自動化を図った。保有データの範囲が幅広いことと、時代が古いことから、その全体像の把握と整理が課題になっていたからだ。

 自動化を図ったのは、建築物に関する情報を格納した社内データベースのクレンジング作業と、機械学習のためのデータ生成である。クレンジング作業では、約30時間で作業が終了し、これまでの10分の1以上になったという。

 機械学習用のデータ作成は約10時間で終了した。データ連携基盤なしでは170時間を見込んでいた。機械学習は、竣工物件の設計・施工にかかわる情報の整理や、新たな設計案件における建築物の仕様や性能の予測に利用する。

 さらにSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)とも連携し、建築予定地の住民による投稿内容を可視化・分析し、設計提案に生かす計画だ。

 竹中工務店 設計部(設備設計)の上杉 崇 氏は、データ連携についてこうコメントしている。

 「昔の棟梁が大工道具を駆使して建築していたように、現代の設計者としてデータ連携基盤を使って得た情報を未来の建築物に生かしていきたい。例えば従来は、マーケティング調査などでまちや建物の定量的な情報を収集してきた。SNSなどの外部情報と連携することで、定性的な情報、特に、設計に一番大事な『人の想い』がわかるようになった功績は大きい」

 今後は、建築物の電気・水道の使用量のデータ分析や、気象情報のデータを建物内の人に適時に知らせるシステムなどの新サービスの開発にもつなげる考えだ。

 データ連携基盤には、分析プロセス自動化(APA :Analytic Process Automation)プラットフォームの「Alteryx」(米Alteryx)を導入している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名竹中工務店
業種製造
地域大阪市中央区(本社)
課題300年以上にわたって蓄積した建築物のデータを整理・可視化し将来の設計・提案に活用したい
解決の仕組みデータ分析プロセスを自動化しデータ活用を容易にする
推進母体/体制竹中工務店、米Alteryx
活用しているデータ建築物に関する資料
採用している製品/サービス/技術データ分析プロセス自動化プラットフォーム「Alteryx」(米Alteryx製)