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森トラスト、ビル内の配送・集荷を非接触にするための搬送ロボットを実証実験

DIGITAL X 編集部
2021年6月15日

森トラストは、大規模オフィスビルにおける配送・集荷を非接触にするために、複数メーカー製の搬送ロボットを利用する仕組みを実証実験する。配送事業者はビル内に入らないよう、ロボットアームで搬送ロボに荷物を載せたり取り出したりする。2021年6月1日に発表した。

 森トラストは、東京都港区に持つ「城山トラストタワー」において、ビル内のテナントを対象にした荷物の配送・集荷に搬送ロボットを利用する実証実験を2021年6月2日~7月2日にかけて実施する(図1)。コロナ禍で非接触な配送・集荷へのニーズが高まっていることに対応するのが目的で、システムは、大規模ビルでの利用を想定し、複数メーカー製のロボットを管理・制御する。

図1:森トラストが実証実験で利用する搬送ロボット(左)とロボットアーム

 実験では、配送事業者がビルに入館することなく、テナントへの配送・集荷をロボットが代行する(図2)。配送事業者はビルの荷捌き場で荷物を専用棚に下ろし、荷物の情報をタブレット端末を使って入力する。荷物棚に搭載したロボットアームが搬送ロボットに荷物を積み込んだり荷下ろしたりする。テナントは自身で、搬送ロボットから荷物を取り出したり載せたりすることで非接触での配送・集荷を実現する。

図2:城山トラストタワーでの実証実験の全体概要

 配送事業者およびテナント、館内スタッフのそれぞれに専用のアプリケーションを用意する。それらアプリケーションからの情報のほか、搬送ロボットおよびロボットアームの動作を含めて、全体をクラウドから統合的に管理する。搬送ロボットが通過する各種ドアの開閉についても、ロボット管理システムがクラウド経由でスマートキー(ビットキー製)を制御する。

 非接触な配送・集荷の業務フローは、森トラストが構築した(図3)。その業務フローに基づくシステムは、QBIT Roboticが同社の「QBITロボットサービス開発基盤」を使って、ロボットの配車機能や配送集荷スケジューラを持つ「館内配送集荷基盤」を開発した。物流事業者としては、西濃運輸と佐川急便が協力する。

図3:ロボットを使った館内の配送・集荷サービスの運用フロー

 搬送ロボットには、「Relay」(Savikoke製)と「PuduBot」(Pudu Robotics製)、「Peanut」(Keenon Robotics製)を使う。ロボットアーム登載の荷物棚は、QBITが「UR5e」(Universal Robotics製)を使って開発した。

 実証実験の結果を踏まえ、搬送ロボットとロボットアームを使った館内配送・集荷サービスをQBITが事業化を計画する。オフィス延床面積10万平方メートル以上の国内大規模オフィスビルと、敷地面積3万平方メートル以上の国内大規模ショッピングセンターを当面のターゲットに、2021年後半からのサービス提供を目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名森トラスト
業種サービス
地域東京都港区(城山トラストタワー)
課題大規模ビルにおける配送・集荷を非接触で実行できるようにしたい
解決の仕組み配送業者とのやり取りからテナントへの配送・集荷までを複数台の搬送ロボットとロボットアームを組み合わせて自動化を図る
推進母体/体制森トラスト、QBIT Robotic、西濃運輸、佐川急便
活用しているデータ配送・集荷に関する情報
採用している製品/サービス/技術(1)搬送ロボット「Relay」(Savikoke製)と「PuduBot」(Pudu Robotics製)、「Peanut」(Keenon Robotics製)、(2)「UR5e」(Universal Robotics製)などを使って開発したロボットアーム登載荷物棚、(3)「QBITロボットサービス開発基盤」(QBIT Robotic製)など
稼働時期2021年6月2日~7月2日(実証実験の期間)