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デンソー、日常の行動に合わせ運転中のドライバーに音声での店舗情報レコメンドを実証実験

DIGITAL X 編集部
2021年6月25日

デンソーは、運転中のドライバーに店舗情報を音声でレコメンドする実証実験をNTTデータと共同で実施した。車載器から収集した運転中の行動データと、スマートフォンのGPS(全地球測位システム)などから収集した徒歩や電車で移動中のデータを組み合わせた行動分析により、より評価が高いレコメンドができたという。2021年6月8日に発表した。

 デンソーがNTTデータと共同で実施したのは、クルマでの移動中の社内での体験/サービスの質の向上および、行動変容に伴う店舗への見込み客の送客を支援するための実証実験(図1)。2020年6月から2021年3月にかけて実施した。うち実際の車両走行検証は6月~8月で、9月~21年3月末は結果の分析とビジネスモデルを検証した。

図1:実証実験が目指した新しいサービスの全体イメージ

 実験では、車載器のデータから得たドライブ中の運転特性・状況と、スマートフォンのGPS(全地球測位システム)およびBeaconへの反応ログなどのから得た日常の行動特性とを組み合わせることで、個々人の興味・関心を分析。それに応じた店舗情報を、受容性が高いと推測されるタイミングで音声によりレコメンドした(図2)。日常の行動特性の取得には、オフライン行動データプラットフォーム「Beacon Bank」(unerry製)を利用した。

図2:実証実験における行動把握とレコメンド、評価の流れ

 走行中のドライバーへのレコメンドは、3カ月間に2217施設を案内した結果、受け手となるドライバーの評価は、個人の嗜好パターンや運転状況などの理解に基づくレコメンドであるほど高いという結果が得られた(図3)。車載器のデータとスマホによる行動データを組み合わせることで、移動中のUX(User Experience:顧客体験)に付加価値を創出できることが技術的に確認できたという。

図3:実証実験結果、データに基づくレコメンドほど高い評価を得られた

 今回の実験により、移動手段を提供するモビリティ事業者にとっては「ドライバーの体験向上による顧客の取り込み」や「自動車をメディアとした新たな収入源の創出」が期待できるとする。一方、店舗などサービス事業者においては「自動車内でサービスを利用するという新たなマーケットへの参入」や「利用者の行動変容による顧客の取り込み」が期待できるとしている。

 両社は今後、次世代コックピットやスマホ向けサービスといった顧客接点の確保とともに、自動車メーカー、カーシェアやレンタカーなどのモビリティ事業者、および小売店や観光・商業施設などのサービス事業者とともに、スマホのデータと車載器のデータによる個人の行動理解を軸にしたUXやコンテンツ提供の可能性を検討していく。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名デンソー
業種製造
地域愛知県刈谷市(本社)
課題運転中のドライバーに対し、社内での新しいUX(User Experience:顧客体験)を提供することで、行動変容を促し小売店などへの送客を支援したい
解決の仕組み車載器のデータから得られるドライバーの運転特性・運転状況と、スマホのGPSやBeacon反応ログから得られる徒歩や電車での行動特性を組み合わせた分析により、個々人の興味・関心に応じた店舗情報を受容性が高いであろうタイミングにレコメンドする
推進母体/体制デンソー、NTTデータ
活用しているデータ車載器のデータから得られたドライバーの運転特性・運転状況に関する情報、スマホのGPS、Beacon反応ログなどのデータから得られた徒歩や電車での行動特性に関する情報
採用している製品/サービス/技術オフライン行動データプラットフォーム「Beacon Bank」(unerry製)、車載器、スマートフォンのGPS、Beacon
稼働時期2020年6月~2021年3月(実証実験の実施期間)