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常石造船、設計業務のデジタル化で年間1万3000時間の作業時間削減へ

DIGITAL X 編集部
2021年6月25日

広島県福山市に本社を置く常石造船は、設計業務をデジタル化するためのクラウドサービスを2021年6月7日から本格利用している。これにより年間1万3000時間の作業時間削減を見込む。2021年6月8日に発表した。

 1917年(大正6年)7月創業の常石造船は、造船・海運業を展開する常石グループの中核会社。広島県福山市にある常石工場と、フィリピンと中国にある海外工場において、ばら積み貨物船やコンテナ船、タンカーなどを建造している。

 今回、船舶の仕様検討から図面管理まで一連の設計業務に対し、ワークフロー管理機能を持つデータ管理のクラウドサービスを導入し、2021年6月7日に本格利用を開始した。タスクの進捗を可視化し、これまで以上に納期を順守できる仕組みを構築した(図1)。

図1:設計業務におけるワークフローを管理しタスクを可視化した。右は導入した「SmartDB」の画面例

 この仕組みにより、中核業務以外では年間1万3000時間の作業時間削減を見込む。経営資源を環境負荷の低減を重視した製品開発などに集中させ、競争が激化する造船業界における商品力の強化を図りたい考えだ。

 設計業務のデジタル化に向けては、2020年1月に3ヵ年計画を立案し実行する予定だった。だが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行を受け急きょ、従業員同士の接触機会を減らす必要が高まり、紙を使う業務のペーパーレス化を先行して進めた。具体的には、紙の帳票はExcelやPDFに、ワークフロー管理はメールや電子スタンプに置き換えた。

 しかし、紙の電子化のみを先行した結果、部分最適な仕組みになり、タスクの進捗管理での不備や、誤操作によるデータ消失などが発生し、作業量や作業時間の削減につながらなかったという。

 同社 設計本部 機電設計部 部長の小林 裕 氏は「競争の激化する造船業界において、商品力強化により顧客へのさらなる付加価値提供を実現するため、従業員に対してコア業務に注力できる環境の整備を進めている。その具体策として設計業務におけるサブ業務の圧縮・削減のためワークフロー管理機能を活用する。削減した時間を、よりステップアップした業務に充てることでコア業務への注力につなげ、商品力強化を実現する考えだ」と話す。

 常石造船がワークフロー管理のために導入したのは、業務をデジタル化するためのクラウドサービス「SmartDB」(ドリーム・アーツ製)。ワークフロー管理機能のほか、データベース機能により、登録データの権限を管理することで、最新データの参照や検索機能によるデータの早期発見を可能にしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名常石造船
業種製造
地域広島県福山市(本社)
課題競争が激化する造船業界において、商品力の強化を図るために、経営資源を環境負荷の低減を重視した製品開発などに集中させたい
解決の仕組み船舶の仕様検討から図面管理までの設計業務をデジタル化し、ワークフローを管理すること、コア業務以外にかかる作業時間を削減する
推進母体/体制常石造船、ドリーム・アーツ
活用しているデータ図面情報、設計作業の進捗情報など
採用している製品/サービス/技術クラウドサービス「SmartDB」(ドリーム・アーツ製)
稼働時期2021年6月7日(本格利用の開始日)