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住友電工、工場での作業を5G+AIでリアルタイムに可視化

DIGITAL X 編集部
2021年6月28日

住友電気工業は工場の作業をリアルタイムに可視化するために、5G(第5世代移動通信システム)で伝送した映像AI(人工知能)技術で解析する仕組みの実証実験をソフトバンクと共同で実施した。工場における各種作業の記録や集計にかかる人手と時間を圧縮し生産性を高めるのが目的だ。2021年6月9日に発表した。

 住友電気工業が実施したのは、工場における各種作業の可視化を自動化するための実証実験。生産性を高めるために実施している作業内容の記録から、それぞれの作業時間の計測、作業の分類別のデータ集計までの手作業を、作業現場を撮影した映像をAI(人工知能)技術で分析することで削減する(図1)。

図1:住友電工が実証実験した工場における作業を可視化する仕組みの概念

 2021年3月26日~5月24日に実施した実験では、同社の大阪製作所に高精細カメラ4台を設置した。その映像を5G(第5世代移動通信システム)ネットワークを介して住友電工のデータセンター内にあるクラウドサーバーに伝送(図2)。それをAI技術で解析し、作業の分類や時刻との照合などを経てリアルタイムかつ自動で可視化した。

 可視化用のソフトウェアは住友電工が独自に開発した。個々の作業のタイムチャートを生成する。作業における1日ごとの目標時間と実際の作業時間を分析し、結果をグラフ化する機能のほか、グラフをクリックすると該当する日付の作業映像を再生し、作業の遅延が発生した個所を特定し原因を分析できる仕組みも整備した。

 実証実験の結果、作業時間の計測・集計・作業の分類にかかっていた人的リソースを大幅に削減できた。また作業者は、目標時間と実際の作業時間の差分を確認することで、効率性を意識して作業に取り組めるようになったという。

 5Gネットワークにはソフトバンクが提供するサービスを利用した。カメラと5Gネットワークの接続には、住友電工が開発した産業用5G端末を使っている(図2)。工場内にある設備を接続するためのインタフェースを提供し、工場への新たなネットワークの構築を不要にしている。

図2:住友電工が開発した産業用5G端末(左)と実証実験におけるシステム構成
デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名住友電気工業
業種製造
地域大阪市(大阪製作所)
課題生産性向上のために作業時間を可視化する必要があるが、作業の記録、分析に人的リソースがかかるうえ実態の把握に時間がかかる
解決の仕組み作業現場を高精細カメラで撮影し、その画像を5Gで伝送し、クラウド上で動作するAI技術で分析することで作業時間を割り出し、可視化する
推進母体/体制住友電工、ソフトバンク
活用しているデータ高精細カメラで撮影した工場における作業映像
採用している製品/サービス/技術データの可視化・分析用独自ソフトウェア、産業用5G端末(いずれも住友電工が開発)
稼働時期2021年3月26日~5月24日(実証実験の期間)