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コニカミノルタ、グループにおけるAI利用の基本方針を策定

DIGITAL X 編集部
2021年6月29日

コニカミノルタは、グループ内でAI(人工知能)技術を利用する際の基本方針を策定したと2021年6月11日に発表した。同方針を基にAI技術を適用する個人情報の漏洩などを防ぐためのガイドラインやルールを定める。

 コニカミノルタが策定したのは、製品/サービスの開発や研究開発、生産、販売などの事業活動にAI(人工知能)技術を利用する際の基本方針。AI技術の利用に際し、個人情報の誤った利用や情報漏洩が生じないようにするとともに、AI技術が社会に差別をもたらさない体制をコニカミノルタグループとして整備するのが目的だ。

 基本方針は6項目からなる。(1)人々が生きがいを感じられる社会の実現、(2)安全/安心の確保、(3)公平性の尊重、(4)透明性の追求と説明責任、(5)ステークホルダーとの共創、(6)人材の育成だ。この基本方針に則って今後は、社内のガイドラインやルールなどを定め、それらを運用する。

 コニカミノルタがAI技術を利用するための基本方針を定めた背景には、AI技術の誤った利用は、プライバシー侵害や人権侵害といった様々な問題を生じさせる可能性があるとの認識がある。加えて、種々の事業領域においてAI技術を利用する場面が増えている。

 例えば、光学デバイスや画像センシング技術にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術やAI技術を組み合わせた「画像IoT」が、その一例。画像IoTによる介護施設向けサービス「HitomeQ(ヒトメク)ケアサポート」では、転倒や転落などの動きを認識するために、入居者の居室の天井にセンサーを取り付けるため、入居者のプライバシーに配慮する必要がある(図1)。

図1:介護施設向けサービス「HitomeQ(ヒトメク)ケアサポート」の適用例

 小売店舗での消費者ニーズを店舗の天井に設置したカメラで撮影した画像から推定する「Go Insight」や、市民ランナーのランニングフォームの改善を支援する「Runalytic(ラナリティック)」などでもプライバシーの配慮は不可欠だ(図2)。

図2:店舗での顧客の行動を分析する「Go Insight」(左)とランニングフォームの改善を支援する「Runalytic(ラナリティック)」におけるAI技術の適用例

 また胸部X線画像から鎖骨と肋骨の像を減弱するために機械学習を利用するケースでも個人情報を利用している(図3)。高分子複合材料の開発期間を短縮するマテリアルズ・インフォマティクスの取り組みでは、実験データや化学物質の構造や機能といったデータを扱っている。

図3:胸部X線画像から鎖骨と肋骨の像をAI技術を使って減弱する

 ほかにも、RPA(Robotic Process Automation)システムを使った「デジタル社員」や、問い合わせに24時間365日対応するAIチャットボットなどオフィス領域でもAIの利用が進むほか、工場のデジタル化を進めるデジタルマニュファクチャリングにおいてもAIの利用を進めている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名コニカミノルタ
業種製造
地域東京都千代田区(本社)
課題AI技術を誤って利用すれば、プライバシーや人権の侵害など様々な問題を生じさせる可能性がある
解決の仕組みAI技術の利用に関する基本方針を策定し、同方針に則って社内のガイドラインやルールなどを定め運用する
推進母体/体制コニカミノルタ
活用しているデータAI技術を使って分析する各種データ
採用している製品/サービス/技術AI技術を利用する際の基本方針およびガイドラインなど
稼働時期2021年6月11日(発表日)