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川崎市、フードサイクルに市民の参画を促すための基盤をブロックチェーン技術で構築へ

DIGITAL X 編集部
2021年7月7日

川崎市は食品廃棄物を循環させるフードサイクルの取り組みに市民の参加を促すための基盤においてブロックチェーン技術を適用する実証実験に取り組む。非金銭的なインセンティブを提供する仕組みの構築が目的だ。共同で実験する電通グループと、ブロックチェーン関連ベンチャーのシビラが2021年6月18日に発表した。

 川崎市は2021年6月から2021年12月に、商品廃棄物を循環させるフードサイクルの確立に向けたプロジェクト「eco-wa-ring Kawasaki(エコワリング川崎)」を電通などと共同で実施する。市内の家庭から排出される生ごみをコンポスト化容器を用いて堆肥に変え、市内農園での野菜作りに活用するという循環サイクルの創出が目標だ。

 ただ、フードサイクルなどSDGs(持続可能な開発目標)に関連する行政施策では、金銭的なインセンティブなしに市民の自発的参加を促したいという課題がある。eco-wa-ring Kawasakiでは、市民一人ひとりのエコ活動を評価し、活動実績に応じて非金銭的なインセンティブを提供する仕組みを導入したい考えだ(図1)。

図1:食品廃棄物の循環を目指すフードサイクルを非金銭的なインセンティブにより創出を目指す

 非金銭的なインセンティブによるフードサイクルへの市民の自発的な参画を促すために、ブロックチェーン技術を用いた情報インフラ流通基盤を構築する。市民ら参画者は、自身の活動実績や活動実績に応じたインセンティブの確認、および活動実績の証明ができるようになる(図2)。

図2:市民らのエコ活動を記録するスマホアプリのイメージ(左)。参画者には貢献度に応じた非金銭的なインセンティブを提供する

 一方、インセンティブなどを提供する自治体や企業、店舗は、参画者の実績に応じたデジタル資産(アセット)を発行したり、デジタル資産を提供できる条件をクリアしているかどうかが確認したりが可能になる。

 情報インフラ流通基盤の中核をなすのは、ブロックチェーン技術を使ったデジタルアイデンティである。活動実績を確認・証明にはデジタルアイデンティティの証明プロトコル「Verifiable Credentials」を使い、シビラが提供する自己主権型デジタルアイデンティティ管理アプリケーション「dAvatar」を使って実現する。

 企業・自治体・店舗のための機能は、同じくシビラが提供するIDaaS(Identity as a Service)の「dAuth」を使って開発する。デジタル資産には、ブロックチェーン上で唯一性が保証されているトークン「NFT(Non-Fungible Token)」を用いる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名川崎市
業種公共
地域川崎市
課題金銭的なインセンティブなしに、食品廃棄物を循環させるフードサイクルの行政施策に市民の自発的参加を促したい
解決の仕組み市民の活動を記録・証明し、実績に応じて非金銭的なインセンティブとなるデジタルアセットを提供する仕組みをブロックチェーン技術を用いて構築する
推進母体/体制川崎市、電通グループ、シビラ
活用しているデータプロジェクト参加者の堆肥の持ち込み記録やイベントへの参加記録など
採用している製品/サービス/技術デジタルアイデンティティ証明のプロトコル「Verifiable Credentials」、ブロックチェーン上で保証されているトークン「NFT(Non-Fungible Token)」、自己主権型デジタルアイデンティティ管理アプリケーション「dAvatar」(シビラ製)、IDaaS(Identity as a Service)の「dAuth」(同)
稼働時期2021年6月~2021年12月(実証実験の期間)