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佐川急便、オートロックマンションでの置き配にスマートロックを使う実証実験

池田 真也(DIGITAL X 編集部)
2021年7月12日

佐川急便は、オートロックマンションでの置き配にスマートロックを利用する実証実験を実施した。荷物の受け取り者が不在時にも安全に配達できるようにすることで、再配達のコストを削減するのが狙い。スマートロックを提供するビットキーが2021年6月23日に発表した。

 佐川急便が取り組んだのは、オートロックマンションでの置き配にスマートロックを利用する実証実験(写真1)。東京都江東区のマンションで2021年2月中旬から3月上旬に実施した。受け取り人が不在の際にも荷物を配達し、再配達コストを削減するのが目的だ。実証実験での課題や顧客ニーズを洗い出し2021年秋に再度実験し、実用化を目指す。

写真1:マンション入口の共有部分のオートロックを解除する様子

 実験では、4社のECサイトにおいて、実験対象のマンション住民が注文した商品を配達した。置き配は、(1)マンション入口の共用部のオートロックを解除し住民宅の玄関前に置く方法と、(2)さらに住民宅の玄関の鍵を開けて宅内に置く方法の2つに取り組んだ。

 共有部のオートロックは顔認証技術を使って解除した。入口にタブレット端末を設置し、配達員の顔を撮影する。オートロックを解除できる配達員は事前登録した者に限定した。配達が完了すると注文者にアプリで通知を送る。

 一方、注文者の自宅玄関ドアの解錠では、スマートフォン用アプリケーションを使って、配達員が氏名や顔写真、配達日時の情報を注文者に送り、それを注文者が確認する。すると一時的なデジタルキーが発行され、配達員は、そのデジタルキーで玄関のスマートロックを解錠し宅内に荷物を置く(図1)。

図1:玄関内への置き配では、一時的なデジタルキーを発行する

 オートロックの解除には、マンションやビルのオートロックドアと連動するスマートロック「bitlock GATE」を、玄関ドアのスマートロックには「bitlock LITE」(いずれもビットキー製)を利用した。

 ビットキーによれば、ECの利用増に伴い、配達員の業務負荷につながる再配達率の高さが課題になっている。置き配は、再配達の削減手法として注目されているが、オートロックマンションでは受け取り人が不在時だと玄関先に荷物を運ぶことが困難なのが実状だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名佐川急便
業種物流
地域京都市(本社)
課題配達員の業務負荷につながる再配達を削減したいが、オートロックマンションでは置き配が困難である
解決の仕組みオートロックを顔認証技術を使って開錠したり、受け取り人の玄関の鍵を一時的なデジタルキーで開錠したりすることで自宅前または宅内にまで配達する
推進母体/体制佐川急便、ビットキー
活用しているデータ事前登録した配達員の情報、荷物や配達日時の情報
採用している製品/サービス/技術オートロックドアと連動するスマートロック「bitlock GATE」、玄関ドアに取り付けるスマートロック「bitlock LITE」(いずれもビットキー製)
稼働時期2021年2月中旬から3月上旬(実証実験の期間)