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北九州市、弁当をグループで購入し1人が受け取る仕組みを市役所で実証

池田 真也(DIGITAL X 編集部)
2021年7月16日

北九州市は、デリバリーサービスが限られる地方での弁当の宅配プロセスを検証するために、複数人の注文を1人が受け取り各人に配る「ソーシャルデリバリー」型のサービスを市役所中心に導入する。「宅配弁当DXプロジェクト」として2021年7月1日に開始した。デリバリーサービスを提供するOffisisが同日に発表した。

 北九州市の「宅配弁当DXプロジェクト」は、コロナ禍で需要が伸びている弁当の宅配において、地方都市の課題を解決するのが目的だ(写真1)。具体的には、都心部のように種々のデリバリーサービスが普及していない、企業などで部署単位に注文を集計し電話で注文している、現金決済では支払いに手間がかかる、などに代わる仕組みを構築し、利用者と飲食店双方の利便性を高める。

 そのために、消費者同士が移動のついでに物を届けあう「ソーシャルデリバリーサービス」のモデルを取り入れる。スマートフォン用アプリケーションを使って、部署単位での注文と同様に、複数人の注文をまとめて発注し、飲食店は指定場所までに届け、利用者の代表者に受け渡す。その代表者が注文者に弁当を配るという。

 スマホアプリおよび同サービスとして、注文から決済、配送、受け取りまでを一括管理する「JOY弁」(Offisis製)を利用する(図1)。

図1:「JOY弁」アプリを使った弁当注文の流れ。最後に全員分を受け取る「代表者」を決める

 JOY弁では、弁当代金は事前のオンライン決済になり、弁当を受け取る代表者には、次回の支払いに使えるポイントを利用金額合計の10%分を提供する。まとめての注文で配送件数が減ることもあり、飲食店のサービス利用料は代金の10%とし、一般的なデリバリーサービスよりも安価だとしている。

 宅配弁当DXプロジェクトでは第1弾として、キッチンカーの普及を促す「北九州キッチンカー実行委員会」と連携し、同委員会に加盟するキッチンカー店舗をJOY弁の対象店舗に登録していく。併せて、市役所を中心とした市内複数施設にもJOY弁への登録を促す。

 北九州市とOffisisは2021年3月に「JOY弁導入実証プラン」を実施し、弁当の宅配が抱える課題を確認したという。今回は、その課題をJOY弁が解消できるかどうかの検証になる。

写真2:「宅配弁当DXプロジェクト」に臨む北九州市の北橋 健治 市長(左)とOffisisの田野 宏一 代表取締役

 Offisisは、北九州市での成果を踏まえ、全国各地に「宅配弁当DXプロジェクト」を展開したい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名北九州市
業種公共
地域北九州市
課題デリバリーサービスが普及していなかったり、部署単位での注文を電話で受けるなど、地方都市における弁当の宅配プロセスを変え、利用者と飲食店の利便性を高めたい
解決の仕組み複数人分の注文を代表者が指定場所で受け取り、各人に配る「ソーシャルデリバリー」モデルを採用し、部署単位などの一括注文の宅配効率を高める
推進母体/体制北九州市、北九州キッチンカー実行委員会、Offisis
活用しているデータ弁当の注文情報、サービスに登録する飲食店の情報など
採用している製品/サービス/技術弁当の注文・決済・配送・受取を一括管理するスマートフォン用サービス「JOY弁」(Offisis製)
稼働時期2021年7月1日