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海運大手の独Hapag-LloydとシンガポールのOcean Network Express、業界のデータ流通基盤に参加

DIGITAL X 編集部
2021年7月19日

海運会社の独Hapag-Lloydとシンガポール拠点のOcean Network Express(ONE)が、海運業界のデータ流通基盤の利用を開始した。顧客および業界全体のデジタル化・自動化を促進したいという。データ流通基盤のための技術を提供する米IBMが2021年6月24日(現地時間)に発表した。

 Hapag-Lloydは、独ハンブルクに本社を置く世界第5位の海運会社。241隻のコンテナ船を保有し、世界131カ国に395カ所のオフィスを持ち、1万3300人の従業員が就業する。

 一方のOcean Network Express(ONE)は、川崎汽船と商船三井、日本郵船のコンテナ船サービスを統合し2017年7月に発足した世界第6位の海運会社だ。210隻を超える船舶を運航し、120カ国以上に120便を超えるコンテナ船サービスを提供している。

 このほど両社は、海運業界のためのデータ流通基盤である「TradeLens」に参画した。TradeLensは、荷主および輸送業者に対し、コンテナ貨物の輸送状況と関連書類の処理プロセスを提供する。両社は今後、全世界で流通する自社のコンテナ貨物の物流データを、よりタイムリーに一元的に参照できる仕組みを構築することで、海運貿易のデジタル化を推進したい考えだ。

 TradeLensには現在、10社の海運事業者と200以上の組織が参加し、600を超える港湾やターミナルから、4200万のコンテナ貨物、22億件のイベント、2000万の書類を処理している。これは、全世界のコンテナ貨物の3分の2の動きを把握していることになるという。

 TradeLensは、デンマークの海運企業A.P. Moller-Maerskが立ち上げたオープンなプラットフォームで、開発には米IBMが共同で携わった。クラウドサービスの「IBM Cloud」とブロックチェーン技術のクラウドサービス「IBM BlockChain」上で稼働している。

 IBMによれば、グローバル貿易において、顧客が商品の状態を示す情報に透明性の高い方法で安全かつ容易にアクセスできる仕組みの構築が課題になっている。TradeLensであれば、紙べースのプロセスを低減するとともに、自社商品の流れに関する最新情報を入手できるとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名海運大手の独Hapag-Lloydとシンガポール拠点のOcean Network Express(ONE)
業種物流
地域独ハンブルク(Hapag-Lloydの本社)/シンガポール(Ocean Network Expressの本社)
課題コンテナ貨物の物流データをよりタイムリーで一貫して参照できる仕組みを構築したい
解決の仕組みブロックチェーン技術を使ったオープンな海運業向けデータ流通基盤を利用する
推進母体/体制Hapag-Lloyd、Ocean Network Express、デンマークの海運会社A.P. Moller-Maersk、米IBM
活用しているデータコンテナ貨物の物流データ、関連する書類のデータ
採用している製品/サービス/技術クラウドサービス「IBM Cloud」、ブロックチェーン技術のクラウドサービス「IBM BlockChain」(いずれも米IBM製)