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大和ハウス工業、物流施設内の熱中症とインフルエンザの発生リスクをIoTで可視化

DIGITAL X 編集部
2021年8月31日
ルチテナント型物流施設「DPL新富士Ⅱ」の外観

大和ハウス工業は、マルチテナント型物流施設「DPL新富士Ⅱ」に熱中症とインフルエンザの発生リスクを可視化するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムを導入し、2021年8月23日から運用を開始した。NTTコミュニケーションズのサービスを利用する。2021年8月20日に発表した。

 大和ハウス工業の「DPL新富士Ⅱ」は、静岡県富士市にある同社のマルチテナント型物流施設。コロナ禍にあって、同施設のテナント企業が、より安心・安全して利用できるように、コロナ禍でのマスク着用に伴う体温上昇によりリスクの高まりが指摘される熱中症と、冬期に流行時期を迎えるインフルエンザの発生リスクを可視化するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムを導入し、2021年8月23日から運用を開始した(図1)。

図1:熱中症とインフルエンザの発生リスクを可視化するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムのイメージ

 熱中症とインフルエンザの発生リスク情報は、モニターに表示するほか、リスクの段階に応じてテナント企業と管理職に対しメールでも警告を通知する。

 熱中症の発生リスクの可視化には、環境データを取得するWBGT(Wet-Bulb Globe temperature:湿球黒球温度)センサーを使う。WBGT同センサーは、熱中症発生リスクを示す「暑さ指数」を算出でき、同指数から熱中症リスクを「ほぼ安全」「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」の5段階でモニターに表示する(図2の左)。

図2:リスクを可視化するモニターの表示例

 インフルエンザの流行リスクの可視化には、温湿度センサーを使う。測定したデータからインフルエンザ流行リスク指数を算出し、「ほぼ安全」「注意」「警戒」の3段階でモニターに表示する(図2の右)。

 いずれのセンサーも、一定照度以上の光があれば駆動するため電池交換は不要だ。センサーが取得したデータは無線通信により集計環境に送信する。

 今後も、物流施設の高付加価値化や、維持運用メンテナンスの省力化に向けた検討を進める。例えば、物流施設内のサーキュレーターやシャッターと連動させ、室内環境を自律的に制御・最適化する仕組みの構築などを視野に入れる。

 大和ハウスは、WBGT/温湿度センサーのデータの収集・分析環境として、NTTコミュニケーションズが提供するIoTプラットフォーム「ThingsCloud」を利用している。

 両者は今回の仕組みを継続して改善するとともに、大和ハウスが今後、開発するマルチテナント型物流施設への導入も検討する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大和ハウス工業
業種製造
地域静岡県富士市(マルチテナント型物流施設「DPL新富士Ⅱ」)
課題コロナ禍にあっても、マルチテナント型の物流施設を利用するテナント企業が、より安心・安全して利用できるようにしたい
解決の仕組み熱中症とインフルエンザの発生リスクを、センサーデータを分析して可視化し、モニター表示のほかテナント企業と管理職に警告メールを送る
推進母体/体制大和ハウス工業、NTTコミュニケーションズ
活用しているデータWBGTセンサーおよび温湿度センサーが測定した物流施設内の環境データ
採用している製品/サービス/技術WBGTセンサー、温湿度センサー、IoTプラットフォーム「ThingsCloud」(NTTコミュニケーションズ製)
稼働時期2021年8月23日(システムの運用開始日)