• UseCase
  • 製造

大林組、スマートビルのためのネットワーク構築ガイドラインをシスコと作成

DIGITAL X 編集部
2021年9月1日

スマートビルを対象にしたネットワークの構築ガイドラインを大林組がシスコシステムズと共同で作成した。スマートビルの建築時に必要なネットワーク環境を構築するためのもので、大林組が持つ建設のプロジェクトマネジメントのノウハウとシスコが持つネットワークやサイバーセキュリティに関するノウハウを統合したという。2021年8月23日に発表した。

 大林組がシスコシステムズと作成した『統合ネットワーク構築ガイドライン』は、スマートビルが必要とするネットワーク環境を建設工事に敷設するためのもの(図1)。スマートビルのオーナーおよび利用者に向けた各種サービスを統合できるネットワーク環境の構築を目指し、利便性と拡張性と同時に、サイバーセキュリティ対策による信頼性も高めることで、不動産価値の向上を図る。

図1:シスコシステムズが考えるスマートビルのイメージ

 統合ネットワークの構築について大林組は、「多くのステークホルダーとの調整や業務の進め方に関するノウハウと、サイバーセキュリティや可用性を考慮したネットワーク性能に関する専門知識が求められる。そのため、業務に関する指針と性能に関する指針の必要性を強く感じていた」とする。

 統合ネットワーク構築ガイドラインは、(1)統合ネットワークの設計ポイントと(2)構築手順からなっている。建築プロジェクトの一般的な進め方に沿って、基本計画、基本設計、実施設計、施工、運用の各段階において、仕様を決めるタイミングを明確に示すとともに、設計のポイントや施工上の注意点などを記載する(図2)。エンジニアのスキルや経験に左右されず、質の高い統合ネットワークが構築できるよう配慮しているという。

図2:『統合ネットワーク構築ガイドライン』の記載例

 同ガイドラインは、経済産業省が2019年12月に発行した『ビルシステムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリテ対策ガイドライン第1版』に準拠する。内閣サイバーセキュリティセンターが2018年7月に発行した『政府機関等の対策基準策定のための統一基準群』も意識しているとする。

 大林組とシスコは今後、統合ネットワーク構築ガイドラインをオフィスビルや工場、学校、病院、商業施設、ホテルなどスマートビル以外の用途の建物にも適用していく予定だ。

 大林組はまた、同社のスマートビルマネジメントシステム「Wellness BOX」の次期バージョンの開発も進めているという。

 大林組らによれば、働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが加速し、様々なデバイスのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)化が進む中、スマートビルにおいては、Wi-Fiアクセスポイントや監視カメラ、センサーだけでなく、空調や照明といった設備もビル用の通信規格「BACnetプロトコル」によりインターネットに接続されるようになってきた。

 加えて、ロボットやAI(人工知能)技術などを使ったスマートビル向けサービスの開発・導入が始まっているが、ベンダー各社が個別にシステムを導入しているケースが一般的で、異なるサービス間の連携や竣工後のサービス拡張などに課題がある。

 IP(Internet Protocol)ネットワークが、電気・ガス・水道に並んで、ビル設備に不可欠なインフラになる一方、巧妙化するサイバー攻撃への対策も求められている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大林組
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題スマートビルが求める統合ネットワークの構築に向けては、建設とネットワーク性能の両方の専門知識が必要で、業務に関する指針と性能に関する指針が必要だ
解決の仕組みネットワークに関するノウハウを持つシスコシステムズと共同で統合ネットワーク構築に向けたガイドラインを作成する
推進母体/体制大林組、シスコシステムズ
活用しているデータ建設のプロジェクトマネジメントに関する情報と、最新ネットワークの構築に必要な情報など
採用している製品/サービス/技術建設プロジェクトマネジメントのノウハウ(大林組)、ネットワークやサイバーセキュリティに関するノウハウ(シスコシステムズ)
稼働時期2021年8月1日(ガイドラインの初版発行日)