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三井化学、次世代工場でのエッジコンピューティングに向けたDX基盤を国内全製造拠点に導入へ

DIGITAL X 編集部
2021年9月6日

三井化学は次世代工場でエッジコンピューティングを推進するためのDX基盤を構築した。2021年12月までに国内の全製造拠点に導入する。センサーデータを集約し、リアルタイムに分析するのが狙い。2021年8月26日に発表した。

 三井化学は現在、次世代工場として、国内の主要5工場および袖ケ浦研究センターを対象にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサーデバイス網を構築し、工場運転のさらなる高度化を目指している。そのための準備として、各拠点に少数のセンサー機器を導入し試験運用を進めてきた。

 その過程から同社は、各拠点で発生する膨大な情報を効率良く処理するためにエッジコンピューティング環境を整備することを決め、そのための「DX基盤」を構築する(図1)。まずは2021年9月に大牟田工場に導入し、2021年12月までに全拠点に配備する。

図1:三井化学が次世代工場に導入するエッジコンピューティング環境のメリット

 エッジコンピューティング環境では、振動やガス、圧力など多数のセンサーデータを収集し、各拠点にデータを蓄積するデータレイクを実現し、拠点単位で必要なデータ分析をリアルタイムに実行できる体制を整備する。併せて、災害などの非常時にデータセンターとの通信が断絶した際のBCP(事業継続計画)対策にも役立てる。

 この決定の背景には、多数のセンサーやIoT機器が生成するデータ量は膨大で、それらすべてをクラウドやデータセンターに直接転送すると、拠点間の通信量が大幅に増加し、システム全体が不安定になる可能性があるとの判断がある。すべての情報を1つのデータセンターにまとめることにも大きなリスクがあるとする。

 各拠点に置くDX基盤には、プライベートクラウド用ソフトウェアNutanix Cloud Platform(米Nutanix製)を採用する。Nutanix Cloud PlatformはHPE ProLiant DXサーバー(米HPE製)上で動作させる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三井化学
業種製造
地域福岡県大牟田市(大牟田工場)、千葉県袖ケ浦市(袖ケ浦研究センター)ほか国内主要4工場(千葉県市原市、名古屋市、大阪府高砂市、山口県玖珂郡)
課題多数のセンサーやIoT機器を導入する次世代工場において、膨大な量のデータをリアルタイムに処理するほか、システム全体のBCP対策を強化したい
解決の仕組み各拠点にエッジコンピューティングのためのプライベートクラウド環境を構築する
推進母体/体制三井化学、ニュータニックス・ジャパン合同、日本ヒューレット・パッカード合同
活用しているデータ振動、ガス、圧力など多数のセンサーデータ
採用している製品/サービス/技術Nutanix Cloud Platform(米Nutanix製)、HPE ProLiant DXサーバー(米HPE製)
稼働時期2021年9月(大牟田工場での稼働時期)、2021年12月(国内全製造拠点での稼働時期)