• UseCase
  • 金融・保険

東京海上日動ら、大規模災害を予測するためのデジタルツイン活用に着手

DIGITAL X 編集部
2021年9月8日

東京海上日動火災保険は、東京海上ディーアール、NTTコミュニケーションズと協業し、地震や水災など複数種の大規模災害を予測するためにデジタルツインの活用に向けた研究を開始した。予測に基づく安全対策や補償などを検討するのが目的だ。2021年8月31日に発表した。

 東京海上日動火災保険が、東京海上ディーアール、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)との協業で取り組むのは、地震や水災など複数種の大規模災害を高精度で予測するためのシミュレーション技術の実現だ(図1)。シミュレーションに基づく安全対策や災害発生時の補償なども検討を進める。

図1:東京海上日動火災保険、東京海上ディーアール、NTTコミュニケーションズと3社が検討するデジタルツイン活用のイメージ

 そのために、災害予測に向けたデジタルツインを構築する。具体的には、東京海上日動および東京海上ディーアールが保有するリスクデータやデータ解析のノウハウなどと、NTT Comが保有する人流・空間などのデータとデジタルツイン関連技術を掛け合わせる。さらに防災科学技術研究所(防災科研)の協力の下、同研究所が持つ災害予測技術や災害研究データなども加え、地震や水災など複数の災害に対応できる「マルチハザードソリューション」の提供を検討する。

 デジタルツインの仮想空間上では、人流・空間・気象・自然災害などのデータや防災科研の災害予測技術などを組み合わせ、リアルタイム性の高い被害予測モデルの構築のほか、同モデルによる予測結果に基づき、災害の種類や規模に応じた災害初期の対応方針を複数パターン策定し、災害発生時におけるデジタルとリアルのシームレスな連携について研究する。

 加えて、災害発生時の個人の避難誘導や災害情報の一元管理、インフラシステムの安定稼働などに向けた防災アプリケーションとクラウド型の防災マネジメントシステム、防災ソリューションを高度化するためのリスクデータの活用やデータドリブン型の保険商品なども研究する。

 将来的には3社が連携し、NTTグループ企業が集中するJR品川駅周辺エリアのほか、災害に強いまちづくりを目指す各地の自治体や、それを支援する企業を対象に予測型マルチハザードソリューションの提供を目指す。

 近年は地震や豪雨などの大規模な自然災害が多発し、日本だけでなく世界的な社会問題になっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名東京海上日動火災保険
業種金融・保険
地域東京都千代田区(本社)
課題地震や豪雨など大規模な自然災害が多発しており、災害に強い街づくりに向けた取り組みが世界的な課題になっている
解決の仕組み地震や水災など複数種類の大規模災害を予測するためのデジタルツインを構築し、予測に基づく各種施策を研究・検討する
推進母体/体制東京海上日動火災保険、東京海上ディーアール、NTTコミュニケーションズ、防災科学技術研究所
活用しているデータ人流・空間・気象・自然災害などのデータおよびリスクデータ
採用している製品/サービス/技術デジタルツイン関連技術(NTTコミュニケーションズが提供)
稼働時期--