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UCC上島珈琲、コーヒー農園における栽培環境の把握に衛星リモートセンシング技術を活用へ

DIGITAL X 編集部
2021年9月13日

UCC上島珈琲は国際航業と協業し、コーヒー農園の栽培環境を把握するために衛星リモートセンシング技術を活用する実証実験を開始する。コーヒー生産にかかわるリスクを迅速に把握することが狙い。2021年9月3日に発表した。

 UCC上島珈琲が実証するのは、コーヒー農園における栽培環境を衛星を使ったリモートセンシングによって把握する仕組み(図1)。環境を示すデータから、コーヒーの木の成育診断および気候変動緩和のための指標を開発する。ジャマイカにある「UCCブルーマウンテンコーヒー直営農園」とハワイにある「UCCハワイコナコーヒー直営農園」を対象に実施する。

図1:コーヒー農園を対象にした衛星リモートセンシングの実証概要

 実証の成果をUCC上島珈琲は、気候変動によるコーヒー生産のリスク管理とコーヒー生豆の持続可能な調達の実現に利用する。具体的には、直営農園に適用するほか、生産農家への営農支援や、「UCCグループの責任ある調達原則」に基づく現地の確認、地球温暖化に伴う生産適地減少個所の予測への展開などだ(図2)。

図2:衛星リモートセンシングによる農園の遠隔管理で期待できる効果

 UCC上島珈琲によれば、世界のコーヒーの市場規模は現在、生豆の取引額ベースで約300万ドルと推定されている。地球温暖化が進行すると、例えばアラビカコーヒーの生産適地は2050年までに半減する可能性がある。加えて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、コーヒー農園の栽培環境を遠隔地から観測できる衛星リモートセンシング技術の活用ニーズが高まっている。

 コーヒー生豆は国際的に取引されている高価な農作物の1つで、生産にかかわるリスクを迅速に把握することが重要だ。コーヒー栽培にはシェードツリーが必要なため、生物多様性の保全やCO2吸収など、気候変動の緩和に貢献できるとの期待もある。

 UCC上島珈琲と国際航業の両社は今後、今回の実証成果を用いて、コーヒー生産地の政府や大規模生産者に向けたコンサルティングビジネスも検討するとしている。

 なお今回の実証は、内閣府宇宙開発戦略推進事務局が実施する「内閣府令和3年度 課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」として実施される。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名UCC上島珈琲
業種農林水産
地域ジャマイカ(UCCブルーマウンテンコーヒー直営農園)、ハワイ(UCCハワイコナコーヒー直営農園)
課題コーヒー生豆は国際的に取引される高価な農作物の1つで、生産にかかわるリスクを迅速に把握することが重要なうえ、地球温暖化が進行すると生産適地が減少していく
解決の仕組み衛星リモートセンシング技術を活用し農園の栽培環境を遠隔地から観測できるようにし、管理に必要な指標を開発する
推進母体/体制UCC上島珈琲、国際航業
活用しているデータ衛星リモートセンシングで取得するコーヒー農園の情報
採用している製品/サービス/技術衛星リモートセンシング技術(国際航業が提供)
稼働時期2021年9月3日(実証実験の開始日)