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三井化学、市況商品の価格変動を予測するAIの精度を実証実験で確認

DIGITAL X 編集部
2021年10月1日

三井化学は、市況に左右されやすい製品の価格変動をAI(人工知能)技術を使って予測する実証実験をNECと連携して実施した。結果を踏まえ、調達・生産・販売の適正化による利益の向上と価格変動による損失回避に向けた需要予測システムの本格導入を目指す。2021年9月24日に発表した。

 三井化学が実施したのは、需要予測が難しい製品を対象にした市況価格予測の実証実験。過去数年にわたる日次および週次の在庫データや工場の稼働率、販売数量などのデータをAI(人工知能)技術を使って分析し、無数の特徴量候補から有効なものを自動抽出して予測モデルを構築した。

 実験の結果、継続的に改善すべき点はあるものの、対象製品の翌月の需要を高い精度で予測できることを確認した。また、「XXXの動きと○○○の価格に相関がある」など、人間が一見しただけでは気づきにくい新たな業務知見も得られたという。

 実証した仕組みの本格導入ができれば、製品の販売価格を市場動向を踏まえて適正に設定し、より適切な販売計画を立案することで、同計画に基づく調達・生産により在庫金額の削減が見込めるとしている。

 同社DX推進室 担当執行役員の三瓶 雅夫 氏は、「激化する国際環境の中、競争力強化のため、「AutoML」という先進的な機械学習技術を活用した需要予測のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を推進する。調達コストの削減、リードタイムの短縮、物流最適化によるCO2低減を通じて、社会課題の解決と顧客起点のビジネスモデルへと企業変革(CX:Corporate Transformation)を加速する」と話す。

 DX推進室は、2021年4月に新設された部署で、営業とサプライチェーン領域を主に、全社的なDXへの取り組みを加速する役割を担っている。

 三井化学ではこれまで、業務担当者の知見や経験に基づき、週単位に集計した過去の価格・採算推移や為替などのデータを用いて、製品の需要動向を予想してきた。しかし、グローバル化の進展とともに市場ニーズが急激に変化するようになり、需要予想が困難になってきた。そのため原料の調達価格と調達数量、生産量を最適にコントロールすることが経営課題になっている。

 実証実験で使用したAIソフトウェアは、米dotData製の「dotData」。データ分析プロセス全体を自動化する機能を持つ。dotDataはNECからカーブアウトしたベンチャー企業で、国内ではNECが提供している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三井化学
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題グローバル化の進展とともに市場ニーズが急激に変化するようになり、業務担当者の知見や経験に基づく需要予想では市場対応が困難になってきた
解決の仕組み製品の在庫や工場の稼働率、販売数量などのデータをAIソフトウエアで分析し、特徴量候補から有効なものを自動抽出することで価格の予測モデルの精度を高める
推進母体/体制三井化学、日本電気、米dotData
活用しているデータ過去数年にわたる日次および週次の在庫データや工場の稼働率、販売数量など
採用している製品/サービス/技術ソフトウエア「dotData」(米dotData製)
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