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会津若松市、中山間地域への配送に自走ロボとタクシー/路線バスを組み合わる仕組みを実証実験

DIGITAL X 編集部
2021年10月6日

福島県会津若松市は、中山間地域において買い物が困難な住民への支援を目的に、自動走行ロボットとタクシー/路線バスを組み合わせた配送サービスの実証実験を実施した。自走ロボを地域配送のラストワンマイルを担う地域インフラに位置付ける。実験に参加したTISが2021年9月29日に発表した。

 福島県会津若松市が実施したのは、市街地から離れた中山間地域を対象に中心部のスーパーマーケットから住民宅まで購入品を届ける配送サービスの実証実験(図1)。地域の拠点まではタクシーと路線バスがリレー形式で運び、そこから個人宅までのラストワンマイルを自動走行ロボットで届けた。

図1:自走ロボとタクシー/バスを組み合わせた配送のイメージ(左)と商品の注文から配達までの流れ

 実験は、市街地から20キロメートル程度(クルマで約40分)離れた湊町において2021年7月1日から7月11日まで、TISら11者とともに実施した。結果、市の中心部から集落拠点まではタクシーや路線バスで輸送し、集落拠点から個宅まではロボットで配送するという形態が、1つのユースケースになることを確認できたとする。

 配送サービスを利用した住民からは、「普段は自家用車で買い出しに出ているが商品を手元に届けてもらえば便利になるので使いたい」という意見を得られた。運転免許の返納者や独り暮らしの高齢者からは「安心して暮らせる取り組みだ」といった評価を得たという。

 またタクシーや路線バスを輸送手段に組み入れることで、利用者が減っている路線バスなどの有効活用につながることも確認したとしている。

 自走ロボには制御方式が異なる2種類の自走ロボを利用した(図2)。1つは自動運転車用の3D(3次元)地図を使って制御するロボット(ティアフォー製)、もう1つは衛星測位で制御するロボット(イームズロボティクス)だ。いずれの制御技術も、その有効性を確認できたとする。

図2:実証実験に用いた2種類の自動走行ロボット

 実験時には、社会受容性を高めるために、ロボットへのテレビ電話の搭載や、周囲に存在を気づかせるための走行音などについても検証した。

 今回の実験は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」として実施した。

 自動走行ロボによる配送部分を担当したTISは2020年10月、会津若松市や地域住民および地域事業者とともに事業推進委員会を立ち上げ、「買い物」に着目したロボットによる搬送事業モデルを検討。その検討結果を元に今回の実証実験に取り組んだ。

 TISは今後、ロボットシェアリング型配送サービスの事業化に向けた検証を進めるとともに、ロボット関連事業者と協調しながらロボットに関する法令・制度・ルールの整備に向けて国へも提言していくという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名福島県会津若松市
業種公共
地域福島県会津若松市の中山間地域
課題中山間地域に暮らす住民の買い物を支援したい
解決の仕組み市の中心部にあるスーパーマーケットの商品を地元のタクシー/路線バスがリレー形式で輸送し中山間地域にまで届け、そこから住民個宅までのラストワンマイルを自動走行ロボットで届ける
推進母体/体制福島県会津若松市、TIS、みんなと湊まちづくりネットワーク、みちのりホールディングス、会津乗合自動車、リオン・ドール コーポレーション、アイサンテクノロジー、ティアフォー、損害保険ジャパン、イームズロボティクス、會津アクティベートアソシエーション
活用しているデータ自動走行ロボットの位置情報など
採用している製品/サービス/技術自動走行ロボット(ティアフォー製とイームズロボティクス製)
稼働時期2021年7月1日~7月11日(実証実験の実施期間)