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日本惣菜協会、注文量予測と人員シフトの最適化に向けた業界標準モデルの作成に着手

DIGITAL X 編集部
2021年10月8日

日本惣菜協会と会員企業5社は、注文量の予測と人員シフト計画の最適化を対象に業界共通のモデル構築に取り組む。注文量予測にはAI(人工知能)技術を、シフト計画には量子コンピューターをそれぞれ活用する考えだ。日々の需要や人員の要望・力量に応じて最適化を図り生産性を高めるのが狙い。量子コンピューティング環境などを提供するグルーヴノーツが2021年9月30日に発表した。

 弁当・惣菜などの製造工場では種々の課題を抱えている。多品種の受注生産でありながら、短納期かつ注文数の確定が納入前夜であることから、事前の仕込み量と実際の製造量が合わず廃棄ロスが発生している。盛り付け作業の機械化が難しく人手に頼らざるを得ないものの、製造量に応じたシフトアサインができず余剰人員が発生してもいる。

 こうした課題の解消に向け、日本惣菜協会は、注文量の予測と人員シフト計画の最適化にデジタル技術を活用するための業界共通のモデル構築に取り組む。協会会員のグルメデリカ、デリカスイト、ニッセーデリカ、ヒライ、マックスバリュの5社が運営する工場において、業務要件を整理・共通化していく。

 注文量の予測に向けては、惣菜製造業が必要な商品を必要な量だけ高い鮮度で製造できるように、AI(人工知能)技術を使った高精度な注文量予測モデルを開発するとともに、需要予測に必要なデータの標準化・共通化を推進する。

 人員のシフト計画の最適化に向けては、量子コンピューターを活用し現場の複雑な条件を加味したシフト最適化モデルを開発し、最小限の人員で無理のないシフトを実現し、生産性・収益力の強化につなげる。併せてロボットの共存を考慮したシフト計画を作成できる仕組みを開発し、ロボットを導入しやすい環境の構築を後押しする。

 AIや量子コンピューターの利用においては、グルーブノーツが提供する両技術のプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS」を使い、業界で標準的に導入可能なAI/量子コンピューターの活用環境の構築を目指す。

 グルーヴノーツは2020年度に、「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に参画し、1カ所の惣菜製造工場を対象にAIと量子コンピューターの活用を実証している。結果、注文量については精度約96%で予測でき、シフト計画の作成では、約130人を対象にしたシフト表を約4分で自動で作成できたという(図1)。

図1:惣菜製造工場において2020年度に実施したAIによる注文量の予測結果

 なお今回の日本惣菜協会の取り組みは、経済産業省が推進する2021年度の「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」の一環として実施する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本惣菜協会
業種製造
地域東京都千代田区(本部)
課題商品特性が短納期かつ注文量確定が納入前夜であるため、仕込み量と製造量が合わず廃棄ロスが発生したり、製造量に応じたシフトをアサインできず余剰人員が発生したりしている。盛り付けの作業の機械化が難しいこともある
解決の仕組み注文量をAIで予測したり、シフト計画を量子コンピューターを使って作成したりするための業界標準モデルを作成し、各社へのデジタル技術の利用を促進する
推進母体/体制日本惣菜協会、協会会員(グルメデリカ、デリカスイト、ニッセーデリカ、ヒライ、マックスバリュ)、グルーヴノーツ
活用しているデータ需要予測に必要なデータ、製造現場で働く要員の要望・力量など
採用している製品/サービス/技術AI/量子コンピューターの活用基板「MAGELLAN BLOCKS」(グルーヴノーツ製)
稼働時期2021年度(業界標準モデル作成に向けた業務要件の整理・共通化の着手時期)