• UseCase
  • 公共

栃木県、企業間でIoTデータなどを共有・利用するためのモデルの有用性を検証

DIGITAL X 編集部
2021年10月14日

栃木県は県内企業の生産性向上や地域課題の解決に向けて、企業が人流データやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)データを共有・利用するためのモデルの有用性を検証する実証実験を2021年10月5日に開始した。NTT東日本栃木支店と共同で実施する。NTT東日本が同日に発表した。

 栃木県が実証するのは、「産業データ共有・利活用プラットフォーム事業」の有用性(図1)。人流データやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)データなどを企業間で共有・活用するための効果を測定するとともに、データの活用ノウハウを集積し課題を抽出する。

図1:「産業データ共有・利活用プラットフォーム事業」の実証実験のイメージ

 県が整備しようとしているのは、個々の企業が保有するデータやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のデータなどを企業が相互に共有・活用するための基盤。データ活用は、企業単体では進みつつあるものの、「企業間でのデータの相互共有や活用にまで踏み込んだ民間の活用モデルは育っていない」との認識だ。

 同基盤により、県内企業の生産性の向上や、新製品/サービス、新たな付加価値の創出を後押しし、地域全体の経済活性化や地域課題の解決につなげたい考えだ。

 実証では、4種の施策立案を目標にする。具体的には、(1)店舗周辺の人流把握とSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)分析による販売施策、(2)地域周遊分析による地域全体での周遊促進施策、(3)新業態施設における来場者の向上施策、(4)観光客の地域周遊促進および市民の地元商品購入の向上促進策である(表1)。

表1:実証実験で取り組む4つのテーマ
テーマ内容参加組織・企業
店舗周辺の人流把握、SNS分析による販売施策の立案人流データおよびIoTセンサーを活用して店舗周辺・入店者の属性と購買データを分析し、アプローチすべき購買者の性別や年代、居住地を明らかにできるかを検証する。SNSデータから販売施策を検討できるかも実証する東武宇都宮百貨店
地域周遊分析による地域全体での周遊促進施策の立案人流データとIoTセンサーを活用して那須地域の観光客の動線を把握し、那須地域内の周遊促進策の立案に生かす取り組みを実施する那須高原りんどう湖ファミリー牧場(那須興業)、那須ハイランドパーク(藤和那須リゾート)、那須どうぶつ王国(那須高原リゾート開発)、那須高原TOWAピュアコテージ(藤和那須リゾート)、ホテルエピナール那須(ナクアホテル&リゾーツマネジメント)、ロイヤルホテル那須(大和リゾート)、栃木銀行(アドバイザーとして参加)
新業態施設における来場者向上施策の立案IoTセンサーを活用して来場者のデータおよび施設内での周遊データを取得・分析し、認知向上などの施策立案に生かすミナテラスとちぎ(栃木トヨタ自動車)
観光客の地域周遊促進、市民の地元商品購入向上促進策の立案IoTセンサーを活用して佐野市を訪れる個人観光客の行動を分析することで個人観光客に適したイベントの企画や周遊ルートの紹介などの立案が可能かを実証。IoTセンサーと購買データを活用して佐野市民が立ち寄る観光施設に市民向け商品ラインナップが立案できるかも実証する佐野市観光協会

 各実験に対しては、イオンリテールがアドバイスをし、あいおいニッセイ同和損害保険と三井住友海上火災保険がデータを提供する。NTT東日本は、実証実験の結果をもとに、新基盤構築に向けた方策などについて、2022年2月末までに栃木県産業労働観光部産業政策課に報告する予定である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名栃木県
業種公共
地域栃木県内(各種店舗や観光地など)
課題データ活用に向けて個々の企業の取り組みは進みつつあるが、複数社がデータの相互に共有・活用するための活用モデルが育っていない
解決の仕組み「産業データ共有・利活用プラットフォームモデル」を確立し、栃木県内の企業や自治体が保有するデータを相互に共有・活用可能にする
推進母体/体制栃木県、NTT東日本、イオンリテール、あいおいニッセイ同和損害保険、三井住友海上火災保険
活用しているデータ人流データ、SNSの情報
採用している製品/サービス/技術--
稼働時期2021年10月5日(実証実験開始日)