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JAL、Webサイトと実店舗の行動履歴を分析し実店舗での顧客体験を高める仕組みを実証実験

DIGITAL X 編集部
2021年10月18日
実証実験を実施する「JALプラザTABITUS+STATION有楽町店」の外観

JAL(日本航空)は、Webサイトと実店舗双方での顧客の行動履歴を分析し、実店舗の来店時に提案やクーポンなどを配信することで購買体験を高める仕組みの実証実験を実施する。実店舗などを運営するJALUXと、デジタルビジネス特化のNRIデジタルと共同で取り組む。2021年10月8日に発表した。

 JAL(日本航空)が実施するのは、顧客がWebサイトへの情報登録行動(オンライン行動)と、実店舗内での過ごし方(オフライン行動)から顧客の困りごとやニーズを推定し、顧客が望むであろう情報をスマートフォンに配信することで購買体験を高める仕組みの実証実験。同社の共創拠点「JAL Innovation Lab」によるもので、小売り事業などを手掛けるJALUXと、デジタルビジネス特化のNRIデジタルと共同で取り組む。

 実験は、JALAXが運営する実店舗「JALプラザTABITUS+STATION(タビタスステーション)有楽町店」で、2021年9月30日~10月31日にかけて実施する。対象者は、タビタスステーションのLINE公式アカウントに友だち登録しており、実験への参加を同意した人である。

 実験参加者は来店時、タビタスステーションのLINE上で発行されるQRコードを店舗内に設置されたチェックイン用タブレット末にかざし入退店を記録する。店内では、3D(3次元)距離センサーや顔認証機器を用いて、参加者の回遊状況や商品棚ごとの滞在時間など店内行動を計測する(図1)。

図1:店内に設置するチェックイン用タブレット(左)と顧客のスマートフォンに送る「リアルタイムオファー」の例

 店内行動データをWebサイトへのアクセス状況データと組み合わせて分析し、オンライン/オフラインの顧客行動を把握する。そこから店舗内での顧客行動に応じてニーズや困りごとを推定し、店舗にない商品の取り寄せ案内やクーポンの配信といった「リアルタイムオファー」をLINEメッセージを使って提供する。

 このリアルタイムオファーにより顧客の行動に変化が起きているかを検証するとともに、店内行動履歴の観察と合わせて顧客の意識と行動も分析する。さらに退店後にはアンケートをLINEで配信し評価を得るという。

 オンライン情報とオフライン情報の融合と、それに連動したアクションを取るための仕組みには、NRIデジタルが開発したクラウドサービス「OMO OnBoard」を利用している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本航空(JAL)
業種流通・小売り
地域東京都千代田区(JALプラザTABITUS+STATION有楽町店)
課題実店舗での購買体験を高めたい
解決の仕組みWebサイト上での事前の情報登録行動(オンライン行動)と店内での過ごし方(オフライン行動)を分析して顧客ニーズを推定したうえで、店頭での困りごとやニーズに応じたオファーをリアルタイムに提供する
推進母体/体制日本航空(JAL)、JALUX、NRIデジタル
活用しているデータWebサイト上での事前の情報登録行動(オンライン行動)、店内の過ごし方(オフライン行動)
採用している製品/サービス/技術オンライン行動とオフライン行動を融合して分析するためのクラウドサービス「OMO OnBoard」(NRIデジタル製)、3D距離センサー、顔認証機器など
稼働時期2021年9月30日~10月31日(実証実験の期間)