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リージョナルフィッシュ、バナメイエビの養殖システムをパッケージ化に向け実証実験

DIGITAL X 編集部
2021年10月19日

陸上養殖に取り組むリージョナルフィッシュが、バナメイエビの養殖システムの実証実験を開始した。奥村組、NTTドコモ、岩谷産業の3社と共同で取り組む。最適な方式・条件を確立し、バナメイエビの養殖システムのパッケージ化を目指す。2021年10月11日に発表した。

 バナメイエビは世界で最も食されているエビ。日本では、寿司ネタやエビフライ、むきエビなどに幅広く使われている。そのバナメイエビの国産種苗(養殖のための稚エビ)生産に成功しているリージョナルフィッシュが、バナメイエビの陸上養殖システムの実証実験を開始した。最適な仕組みを確立し、養殖システムとしてのパッケージ化を目指す。

 実験では、3基の200トン水槽を用いて(1)閉鎖循環式養殖と(2)バイオフロック養殖の2種類の養殖方式を同時に実証する。いずれの方式も水を一切入れ替えないため、病気発生のリスクを下げられるとしている(図1)。

図1:実験するバナメイエビの2種類の養殖方式

 ただ2つの養殖方式については、実際の養殖場の規模で比較検証した例がなく、いずれが優れているかが明らかになっていないという。今回の実験では、両方式のメリットとデメリットを抽出し、最適な養殖方式の選択および改良の方向性を探る。

 実験には、リージョナルフィッシュのほか、奥村組、NTTドコモ、岩谷産業が参加する(図2)。リージョナルフィッシュは、バナメイエビの国産種苗を提供するとともに、バイオフロック養殖を実験する。同社は、バナメイエビのゲノム編集に世界初で成功しており、品種改良にも取り組むという。

図2:養殖システムの実証における参加各社の役割

 奥村組が、閉鎖循環式養殖に取り組む。試験では同社が構築するシステムの各機能の最適化を検証し、安定運用ができるようにする。

 NTTドコモは、ICTブイを使った水質の遠隔監視システムを提供する。水槽の水温、溶存酸素、塩分、pHなどの水質測定データをスマホアプリ「ウミミル」から確認できる仕組みだ。アンモニアなど他社のセンサーで取得したデータもAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)連携によってウミミルで確認できるようにする。

 岩谷産業は、収量増加に向けて、水槽の溶存酸素濃度を高酸素溶解装置を用いて最適な状態に制御する。

 リージョナルフィッシュによれば、バナメイエビの種苗は海外からの輸入が多く、海外由来の特定疾病病による被害がたびたび発生しており、養殖業者は種苗が全滅するリスクに悩まされている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名リージョナルフィッシュ
業種農林水産
地域京都市左京区(本社)
課題バナメイエビの種苗は海外から輸入することが多く、海外由来の特定疾病病による被害が発生し、養殖業者が種苗の全滅リスクに悩まされている
解決の仕組み奥村組、岩谷産業、NTTドコモと共同でバナメイエビの最適な養殖方法を検証し、パッケージ化を図る
推進母体/体制リージョナルフィッシュ、奥村組、NTTドコモ、岩谷産業
活用しているデータ養殖水槽内の水温、溶存酸素、塩分、pH、アンモニアなどのデータ
採用している製品/サービス/技術ICTブイを使った水質の遠隔監視システム(NTTドコモ製)、閉鎖循環式養殖システム(奥村組製)、高酸素溶解装置(岩谷産業)
稼働時期2021年10月11日(実証実験の開始時期)