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サッポロビール、飲料の香味レシピをAIで作成する商品開発システムのテスト運用を開始

DIGITAL X 編集部
2021年12月1日

サッポロビールは、缶酎ハイなどの低アルコール飲料における香味のレシピをAI(人工知能)技術を使って作成する商品開発システムのテスト運用を開始した。マーケティング部門による商品コンセプトから目標とする香味を実現するための香料や配合を導き出す。日本IBMと開発しているシステムで、2022年の実装を目指す。2021年11月4日に発表した。

 サッポロビールがテスト運用を始めたのは、缶酎ハイなど栓を開ければそのまま飲める「RTD(Ready to Drink)」と呼ばれる低アルコール商品の開発システム。マーケティング部門などが立案した新商品のコンセプトに合致する香味を実現するためのレシピをAI(人工知能)技術を使って導き出す(図1)。

図1:商品コンセプトにあった香味レシピをAI技術で導き出す

 テスト運用により、システムが出力した香味レシピに基づく試作品が、マーケティング部門が立案した新商品のコンセプトに合致し良好なことを確認した。レシピの検討時間も、従来比で50%以下に削減できたという。2022年の実装を目標にする。

 商品の研究開発では、技術者が持つ熟練の技術に依存しており、その技術習得に長い時間が必要なほか、技術伝承が不可欠だ。新システムでは、熟練技術をAI技術を使って伝承すると同時に、膨大な配合データに基づく新たな味づくりなど、従来手法や人では思い付かないような新規性・創造性のある商品レシピの開発を期待する。

 新システムでは、商品コンセプトに基づく香料の特徴と目標とするプロファイルを入力すると、それを実現するための香料と配合をAIシステムが推奨する。AIシステムには、過去の商品のレシピにおける官能評価データと香料の特徴に関する情報を学習させたうで、レシピ推奨のアルゴリズムを作成した。

 システムは日本IBMとともに開発している。日本IBMのデータサイエンティストやコンサルタントなどが、データ分析とAI予測エンジンの導入を支援している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名サッポロビール
業種製造
地域東京都渋谷区(本社)
課題商品の研究開発においては技術者の長年の経験による熟練技術が不可欠で、その伝承が必要だが、技術習得・伝承には長い時間がかかる
解決の仕組みAI技術を活用し熟練技術を補完し、商品コンセプトに合ったレシピをシステムで開発する
推進母体/体制サッポロビール、日本IBM
活用しているデータ過去のレシピの官能評価データおよび採用された香料の特徴、新商品のコンセプトなど
採用している製品/サービス/技術AI技術
稼働時期2022年(本番実装の目標時期)