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アパレルの服飾工房絲、生産状況をアイテム1枚ごとにリアルタイムで把握する仕組みを実証へ

DIGITAL X 編集部
2021年12月15日

アパレル生産の服飾工房絲は生産の進捗を製品1枚単位でリアルタイムに管理する仕組みの実証実験に取り組む。調達から生産、販売までの一連の工程の効率を高めるのが狙い。システムを提供するAnyMind Groupが2021年10月29日に発表した。

 群馬県桐生市にあるアパレル生産会社の服飾工房絲は、生産工程の進ちょく状況を生産品の1枚ごとに管理するためのシステムの実証実験に取り組む(写真1)。1枚単位での進捗を可視化し、関係者全員が生産状況を詳細に把握することで、調達から製造、物流、販売までの効率を高めQCD(Quality、Cost、Delivery)の最適化を図るのが目的だ。

写真1:服飾工房絲(左)と生産品の例

 実証では、生産品にRFIDタグ(ICタグ)を付けアイテム個別のIDを付与する。これをトラッキングする仕組みは、AnyMind Groupが、同社のアパレル業向けクラウドサービス「AnyFactory」にリアルタイムトラッキング機能「Supply Chain Unique トラッキング」を開発し実現した(図1)。

図1:「Supply Chain Unique トラッキング」によるアイテムごとのトラッキングの概念

 製品をトラッキングできる専門工場として「服飾工房絲 AnyFactory 足利工場」を開設。既存設備にトラッキングのためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイスを接続する。IoTデバイスの開発にも取り組む。

 AnyMind Groupによれば、昨今はアパレルブランドなどを手軽に立ち上げられる仕組みが発達する一方で、生産現場では属人性や専門性が強く、生産工程における齟齬が起きたり、規格外品(B品)発生時のボトルネックを検知できなかったりという課題が多数発生している。これら課題を、生産工程のトレーサビリティを強化することで解決を図る。

 またAnyFactoryでは、ブランドの所有者とアジア各国の生産工場のマッチングが可能だが、トラッキング機能を追加したことで、最終消費者も注文したアイテムの生産状況を見られるようになった(図2)。消費者に対して、より安心感とリアルタイム感のある購買体験を提供できるとしている。

図2:商品を注文した消費者も生産状況を確認できる

 服飾工房絲とAnyMind Groupは今後、実証実験を通じて機能を改善しながら、生産工程を最適化できる仕組みを実現していく考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名服飾工房絲
業種製造
地域群馬県桐生市(本社)
課題ブランドホルダーと生産者が異なるアパレルの生産現場では、生産に関する情報が見えづらいことによる課題が多く発生するようになってきた
解決の仕組み生産品の1枚1枚に固有のIDを振り、進捗状況をリアルタイムにトラッキングし、生産現場の可視化を図る
推進母体/体制服飾工房絲、AnyMind Group
活用しているデータアパレル製品に付けたRFID(ICタグ)による固有ID、生産設備と連携するIoTデバイスで取得するデータ
採用している製品/サービス/技術アパレル業向けクラウドサービス「AnyFactory」、リアルタイムトラッキング機能「Supply Chain Unique トラッキング」(いずれもAnyMind Group製)
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