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名古屋医療センター、問診内容から電子カルテを作成し治療方法などを表示するAIシステムを実証実験

DIGITAL X 編集部
2021年12月17日

国立病院機構名古屋医療センターは2021年11月10日、患者がタブレットに入力した問診内容から電子カルテを下書きし、症状や治療方法などを表示するAI(人工知能)システムの実証実験を開始した。医師の問診への負担軽減や診療の質的向上を図る。システムを提供する富士通、プレシジョンと共に同日に発表した。

 国立病院機構名古屋医療センターが実験するのは、問診から電子カルテへの症状や治療方法などを記入するまでを支援するAI(人工知能)システム。患者が回答した問診内容から電子カルテを下書きし、症状や治療法なども表示する(図1)。カルテ作成に伴う医師の負担軽減と同時に、患者の待ち時間短縮など患者サービスの向上と診察精度の向上を図るのが目的だ。2021年11月10日から12月31日まで実施する。

図1:問診票の回答用から電子カルテの下書きを自動で作成する

 実験ではまず、患者が院内タブレットを使って問診票に回答する。回答内容に応じてAIシステムが次の質問を表示し、確認すべきポイントをより詳しく聞き出していく。

 問診票への回答データから電子カルテの下書きを作成する。同時に、約2000人の著名医師が監修した医学情報データベースを検索し、症状や所見、鑑別診断、治療方法など、診療にかかわる詳細情報を電子カルテシステムの画面に表示する(図2)。

図2:AI診療と電子カルテシステムを連携し診療の質的改善を目指す

 タブレットを使った詳細な問診は、看護師やクラークにとって診療科受付の負担軽減にもまる。併せて、新型コロナウイルスなど感染症の疑いがある患者を、より早く判断できる。実験では、従来の定型の問診票や口頭での問診と比較し、他の患者との接触時間減や密の回避など、コロナ禍における有効性も検証する。

 実証システムは、AI技術を用いた診療支援システム「今日の問診票」(プレシジョン製)と、電子カルテシステム「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE LifeMark-HX」(富士通製)を連携させ実現している。

 名古屋医療センターによれば、医療機関は今、限られたリソースで新型コロナウイルス感染患者と、それ以外の疾患を持つ患者とを診療している。日々の問診や診察、診断、ワクチン接種など幅広い業務に対応する医師・看護師の負荷が大きな課題になっている。

 実験に参加する富士通は、実験の有効性を踏まえ、2021年度中に実証に用いた仕組みを実用化したい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名国立病院機構名古屋医療センター
業種医療・健康
地域名古屋市
課題コロナ禍もあり、日々の問診や診察、診断、ワクチン接種など幅広い業務への対応が、医師や看護師らの大きな負担になっている
解決の仕組み患者がタブレットから入力した問診票への回答から電子カルテの下書きを作成するともに、医学情報データベースで検索した症状や治療方法などの情報を表示し、カルテ作成時間の短縮などで医師の負担を軽減する
推進母体/体制名古屋医療センター、富士通、プレシジョン
活用しているデータ患者がタブレットから入力した問診データ、医学情報データベース
採用している製品/サービス/技術AIを用いた診療支援システム「今日の問診票」(プレシジョン製)、電子カルテシステム「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE LifeMark-HX」(富士通製)
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