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ホンダ、歩行者とクルマの事故を5G環境で低減する仕組みをソフトバンクと共同検証

DIGITAL X 編集部
2021年12月24日

ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所は、歩行者とクルマによる事故を5G(第5世代移動通信システム)環境下で低減する仕組みの検証をソフトバンクと共同で開始した。2021年度中の技術検証の完了を目指す。2021年11月17日に発表した。

 本田技術研究所はホンダの研究開発子会社。北海道上川郡鷹栖町にある「鷹栖プルービンググラウンド」において、5G(第5世代移動通信システム)を活用したコネクテッドカーの技術検証にソフトバンクと共に進めている。

 今回、SA(スタンドアロン)方式の5G実験用基地局を新たに設置し、同環境でのV2X(Vehicle to X)通信システムと本田技術研究所がもつ認識技術を活用したクルマと歩行者の事故を低減する仕組みの検証を開始した。

 検証は3つのユースケースを対象に進める。(1)クルマから歩行者を目視できる状態、(2)クルマから歩行者を目視できない状態、(3)クルマから歩行者を目視できないなかで、他のクルマなどと近隣情報を共有する状態だ。

 第1のユースケースでは、車載カメラで歩行者が車道へ進入するなど事故の危険性を認識した場合、クルマから直接あるいはMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)サーバーを介して、歩行者が持つ携帯端末に注意喚起を促す警報を通知する(図1)。歩行者が回避行動を取れば接触事故を防止できる。

図1:ユースケース1は、車両から歩行者を目視できる状態での事故低減

 第2のユースケースでは、見通しが悪いエリア内に「歩行者がいるかいないか」を周辺にある携帯端末や他の車両に問い合わせることで、歩行者を検知し、それぞれがデータを高速に通信することで接触事故を防止する(図2)。

図2:ユースケース2は、車両から歩行者を目視できない状態での事故低減

 歩行者の携帯端末とのやり取りでは、走行車両の接近を通知するとともに、携帯端末からも走行しているクルマに対し歩行者の存在を通知する。他の車両とのやり取りでは、歩行者を検知しているクルマから走行車両に対し歩行者の存在を通知する。

 第3のユースケースでは、周辺情報をMECサーバーを介して、それぞれが共有することで接触事故を防止する(図3)。カメラによる認識機能を持たない車両に対して歩行者の存在を通知できる。

図3:ユースケース3は、車両から歩行者を目視できないエリア内でのMECサーバーを介した情報共有による事故低減

 各車両は、見通しが悪いエリア内の情報をMECサーバーに送信。MECサーバーは、その情報を整理して周辺を走行する車両に通知する。通知を受けた車両は、見通しが悪いエリアに近づいた際に、「歩行者がいるかいないか」MECサーバーに問い合わせる。歩行者がいればMECサーバーが車両と歩行者の双方に警告通知を発信する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名本田技術研究所
業種製造
地域北海道上川郡鷹栖町(鷹栖プルービンググラウンド)
課題歩行者とクルマによる事故を低減したい
解決の仕組みSA(スタンドアローン)方式による5G(第5世代移動通信システム)およびセルラーV2X通信システムを活用し、歩行者の存在を検知し、ドライバーや歩行者に警告を発する
推進母体/体制本田技術研究所、ソフトバンク
活用しているデータカメラ画像による歩行者の検知情報など
採用している製品/サービス/技術SA方式による5G環境(ソフトバンクが構築)、セルラーV2X通信システム、MEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)サーバー
稼働時期2021年度中(技術検証の完了予定時期)