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大阪府、健康支援アプリで生活習慣病の発症確率を予測

DIGITAL X 編集部
2022年1月24日

大阪府は、府民に提供している健康支援のためのスマートフォン用アプリケーションにおいて、糖尿病・脂質異常症・高血圧の3大生活習慣病の発症確率を予測する機能を追加した。予測用AI(人工知能)システムは大阪大学が開発、アプリはNTTデータ関西が提供する。2021年12月1日に発表した。

 大阪府は、府民への健康支援策としてスマートフォン用アプリケーション「アスマイル」を提供している。体重・血圧・脈拍など日々の健康情報や、歩数・睡眠時間・食事などの生活行動情報、健康診断・検診情報が記録でき、その活動に応じてポイントを貯められる。

 今回、アスマイルに、糖尿病・脂質異常症・高血圧の生活習慣病の発症確率を予測する「健康予測AI」機能を国保会員向けに追加した(図1)。心筋梗塞や腎臓病などの重篤な病気の引き金になるとされる3大生活習慣病の発症確率を把握することで、府民一人ひとりの意識改革や行動変容を促し、発症を抑制できるようにするのが目的だ。

図1:大阪府の健康支援用スマートフォン用アプリケーション「アスマイル」に追加する健康予測AI機能の画面例(左)。右は同時期に追加した体温・体調記録機能の画面例

 健康予測AI機能では、3大生活習慣病について、直近の健診受診日から3年以内に発症する確率の予測値を提示する。そのためのAI(人工知能)システムの開発では、都道府県レベルでの精度と信頼性を高めるために、年間54万人分のビッグデータを使用した。大阪府の各市町村における国民健康保険の被保険者の特定健康診査データ約6年分などを含む。

 開発を先導した大阪大学の土岐 博 特任教授は「個人が特定できないように個人情報を削除したビッグデータを入手できたことが今回の研究の大きな原動力でした」とする。

 今回、予測機能のほかに、体温・体調記録機能やランキング機能も追加した。体温・体調記録でも、個々人の体調変化や新しい生活様式への意識の向上を促進することを期待する。全会員が利用できる。

 ランキング機能では、年代別や市町村別に比較できるようにした。ポイント獲得へのモチベーションが高まり、主体的な健康活動の推進につながるとみる。

 他にも、iPhoneの「ヘルスケア」やAndroidの「Google Fit」の両健康アプリにアスマイルのデータを自動で入力・連動できる項目に、体重・睡眠時間・血圧・脈拍を追加した。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大阪府
業種公共
地域大阪市大手町(府庁)
課題府民の健康支援の一環として、3大生活習慣病の発症を抑制したい
解決の仕組み健診データなどからAIシステムにより直近の健診受診日から3年以内に発症する確率を予測し提示する
推進母体/体制大阪府、大阪大学、NTT西日本
活用しているデータ府民の健康情報や生活行動情報、健康診断・検診情報など
採用している製品/サービス/技術健康支援策としてスマートフォン用アプリケーション「アスマイル」、3大生活習慣病の発症確率を予測するAIシステム(大阪大学の主導で開発)
稼働時期2021年12月1日(予測機能のリリース日)