- UseCase
- 製造
鋳物メーカーの中島合金、熟練技能者の暗黙知を代替するAI技術を実証実験
2022年2月9日
鋳物メーカーの中島合金は純銅鋳造製造工程における熟練者の暗黙知を学習させたAI(人工知能)システムが実業務に適用できるかどうかを検証する実証実験を2021年12月から三菱総研DCSと共同で実施している。三菱総研DCSが2021年12月13日に発表した。
中島合金は、2020年に創業100年を迎えた鋳造メーカー。銅合金鋳物やアルミニウム合金鋳物に加え、高度な技術が必要とされる純銅鋳物を得意とする。
純銅鋳物は、CAC100番台のJIS規格が定められいる。だが、その製造工程では原材料の状態や環境条件など制御し切れない製造条件のばらつきが存在し、純銅鋳物製造で品質を一定水準にそろえることの難しさの一因になっている(図1)。
今回、純銅鋳物の製造工程において品質を保つのに必要な調整用添加剤の投入を判断するためのAI(人工知能)システムを開発し、実業務に適用できるかどうかを検証する実証実験を開始した。
具体的には、純銅鋳物の製造工程で発生する製造条件のばらつきから、調整用の添加剤を投入し最終品質を均一化するための熟練工の技能をAIシステムに学習させた。実験では、判定制度を高めると共に、予測時間が実用に足るか、製造現場の技術者が利用するシステムとして操作性に問題はないかなどを検証する。
AIシステムは三菱総研DCSの「AI生成プラットフォーム」を使って共同で開発した。これまでに、製造時のばらつき状態と添加剤の投入量の関係を学習したことで、熟練者がもつ添加剤の投入量判断を再現できることを確認した。
検証により、これまで難しかった調整具合の判断の若手への継承問題を解消し、若手でも活用可能なノウハウ資産へと昇華させることを期待する。熟練者を調整作業から解放することで、より難度の高い業務に集中できるようになるとも考えている。
企業/組織名 | 中島合金 |
業種 | 製造 |
地域 | 東京都荒川区(本社) |
課題 | 純銅鋳物製造工程において品質を保つために熟練工は、製造条件のばらつきに応じて調整用の添加剤を適量投入しているが、同技能を若手に継承するのが難しい |
解決の仕組み | 純銅鋳物の製造時のばらつき状態と調整用添加剤の投入量の関係を学習したAIシステムを開発し、熟練者の判断を再現する |
推進母体/体制 | 中島合金、三菱総研DCS |
活用しているデータ | 純銅鋳物製造工程における原材料の状態や環境などの製造条件および調整用添加剤の量 |
採用している製品/サービス/技術 | 「AI生成プラットフォーム」(三菱総研DCS製) |
稼働時期 | 2021年12月(実証実験の開始時期) |