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北海道・赤井川村DMO、観光と地元の足の両立に向けた乗り合いバスを実証実験

DIGITAL X 編集部
2022年2月9日

北海道余市郡の赤井川村国際リゾート推進協会(赤井川村DMO)が、地元住民と「キロロリゾート」を訪れる観光客および施設従業員が共用できる乗合バスの運行実証を2021年12月11日から、NEC、電通、電通北海道と共同で実施している。顔認証技術を使い、過疎地での地域公共交通の新しい運行スタイルの構築を目指す。2021年12月10日に発表した。

 北海道余市郡赤井川村は、小樽の南に位置し四方を山に囲まれた人口1200人弱の村。リゾート施設「キロロリゾート」を抱える。観光を軸に地域の活性化に取り組むのが赤井川村国際リゾート推進協会(赤井川村DMO:Destination Management/Marketing Organization)だ。

 今回、赤井川村DMOが取り組むのは、キロロリゾートを訪れる観光客および同施設で働く従業員、および地元住民が共用できる乗合バスの実証実験。住民と観光客とで料金体系を変えることで、地域の公共交通に観光客需要を取り込み、バス事業の収益性を高め、定期運行路線としての継続的な運用を目指す(図1)。

図1:実証に使う乗合バスの外観

 利用者によって異なる料金体系で運用するために、北海道アクセスネットワークが提供する予約決済システムとNECの顔認証技術を連携し、予約や乗車時のオペレーションの煩雑さや乗務員の多言語対応などへの課題を解消する。利用者には予約を求め、乗車時に顔認証することで村民・観光客・従業員の別を識別し、それぞれ設定した料金の支払いを求める(図2)。

図2:実証で運行する乗り合いバスの予約・乗車のイメージ

 乗務員は非言語・非接触で対応できるため、新型コロナウイルスなどの感染症対策にもなるとする(図3)。

図3:乗合バスへの乗車風景と顔認証画面の例

 実験は、(1)小樽駅前-小樽築港-キロロリゾートと、(2)札幌大通西1丁目-札幌駅前-キロロリゾートの2つの運行区間で実施する。期間は2021年12月11日から2022年4月3日まで。

 赤井川村にはかつて公共交通の路線バスが走っていた。だが、2019年に廃線になり、代替策としてキロロリゾートがチャーターバス事業制度でバスを運行してきた。しかし、観光客が対象の同制度は公共性が低く、地域住民の利用に課題があった。さらに、事業の収益性や、外国人観光客が利用する際の予約・乗車プロセスが煩雑になり運行上の混乱も課題になっていた。

 赤井川村DMOは今後、NEC、電通、電通北海道とともに、複数の交通機関やサービスを連携し、様々な用途に使えるMaaS(Mobility as a Service)の提供を目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名赤井川村国際リゾート推進協会
業種交通
地域北海道余市郡赤井川村
課題チャーターバス事業制度内で運行してきたバスは公共性が低く、地域住民の利用に課題があるほか、収益性も低かった
解決の仕組み乗車予約システムと顔認証を組み合わせ、地元住民、観光客、リゾート施設の従業員を見分け、それぞれに異なる料金体系を適用するコトで、それぞれが利用できる公共交通を実現する
推進母体/体制赤井川村国際リゾート推進協会、キロロリゾート、NEC、電通、電通北海道、北海道アクセスネットワーク
活用しているデータ乗車予約情報および乗客の顔情報
採用している製品/サービス/技術予約決済システム(北海道アクセスネットワーク製)、顔認証技術(NEC製)
稼働時期2021年12月11日から2022年4月3日まで(実証実験の実施時期)