- UseCase
- 金融・保険
JCB、デジタル通貨を交換するためのブロックチェーン間をつなぐ基盤を実証実験
JCBが、デジタル通貨を交換するためのハブとなる基盤の実証実験を、ブロックチェーン技術に取り組むDatachainと実施している。各通貨が利用しているブロックチェーン(分散型台帳)間を相互接続するハブとなる基盤を用意し、取引を仲介する第三者を置かずに交換する仕組みを検証する。2021年12月9日に発表した。
クレジットカード大手のJCBが実施するのは、デジタル通貨を仲介者を置かずに交換するための実証実験。個々のデジタル通貨が採用しているブロックチェーン基盤を結ぶハブとなる基盤を用意し、相互運用性(インターオペラビリティ)について検証する。実験では、「Hyperledger Fabric」と「Tendermint」の2種類を対象にする(図1)。
デジタル通貨の交換では、第三者に依存しない「Relay方式」を採用する。サービス利用者が管理者に秘密鍵を渡すことなく取引を自動で実行できることを検証する。
検証モジュールには、今回の実験に共同で取り組むDatachainが開発をリードする相互運用のためのプロジェクト「Hyperledger Lab YUI」の成果物を利用する。成果物は「Hyperledger Lab」としてOSS(オープンソースソフトウェア)として提供されている。
各ブロックチェーンとハブ基盤との通信には、標準仕様「IBC(Inter-Blockchain Communication)」を使う。またブロックチェーンをまたいだ複数の取引(クロスチェーン取引)の同時実行には「Cross Framework 」を使う。IBCやCross Frameworkは、Interchain FoundationとCosmosプロジェクトが策定している。
JCBとDatachainによれば、デジタル通貨の交換では現状、仲介する第三者を置く形が主流だが、ブロックチェーンが志向する“自律・分散”を踏まえれば今後は第三者に依存しない交換が広がる可能性が高いと考えられる。実用化に向けて両者は、デジタル通貨の発行基盤を運営する企業や関連プロジェクトと広く協議していきたいとしている。
企業/組織名 | JCB |
業種 | 金融 |
地域 | 東京都港区(本社) |
課題 | デジタル通貨の交換において、現状は第三者の信頼に依存する形が主流だが、今後は“自律・分散”を志向した交換方式が広がる可能性がある |
解決の仕組み | 第三者を介する必要がないRelay方式での交換を実現するハブ基盤を構築し、ブロックチェーン間の相互運用性を確保する |
推進母体/体制 | JCB、Datachain |
活用しているデータ | デジタル通貨を支えるブロックチェーンに登録されているデータなど |
採用している製品/サービス/技術 | 検証モジュール「Hyperledger Lab」(Hyperledger Lab YUIが提供するOSS)、ブロックチェーンとハブ基盤との通信仕様「IBC(Inter-Blockchain Communication)」(Interchain Foundation)、「Cross Framework」(Cosmosプロジェクト) |
稼働時期 | 2021年12月(実証実験の開始時期) |