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武田総合病院、在宅患者の異常を電力データから検知するサービスを実証実験

DIGITAL X 編集部
2022年3月3日

武田総合病院(京都市)が、高齢者の見守りに電力データを活用するサービスの実証実験をグリッドデータバンク・ラボと実施した。退院した患者の自宅での異常を検知し、病気の早期発見・早期治療につなげたい考えだ。2021年12月15日に発表した。

 武田総合病院(京都市)が実施したのは、高齢者の見守りサービスに、スマートメーターから取得した電力使用量を利用するための実証実験。2019年11月から2020年11月にかけて、60代~90代のモニター29人を対象に、スマートメーターで取得した30分単位の電力使用量を分析し、で生活リズムの変化を把握できるかどうかを検証した(図1)。

図1:実証実験の内容

 検証の結果、「入院するレベルの体調不良となる事象」と「自宅で倒れた事象」について、異常検知では推定精度約82%が期待でき、正常時に異常と判定してしまう誤検知は8%程度に抑えられる可能性があることを確認したという。

 武田総合病院の三森 経世 院長は、「これまでは退院すると在宅患者の生活習慣を知る方法がなかった。スマートメーターを活用し地域全体の見守りができれば早期発見・早期治療につなげることが期待できる。行政や介護保険サービスなどの支援機関との連携で、慢性疾患のモニタリングや認知症・フレイルの予防など、顔の見える地域包括ケアシステムの発展が期待できる。今後は地元自治体との連携を進めたい」と話す。

 実証実験では、武田総合病院が担う地域包括支援センターと居宅介護支援事業者が持つモニター参加者の実際の入退院の情報を元に「入院するレベルの体調不良となる事象」と「自宅で倒れた事象」とを異常として定義した。

 電力データを使った見守りサービスでは、スマートメーターが設置済みであれば新たな機器の設置が不要で、カメラやセンサーなどを利用者宅に立ち入って設置したりメンテナンスしたりする必要もない。利用者はアラートが発せられた際の安否確認に応えれば良く操作負担が少ないなどのメリットが期待されている。

 実験に共同で取り組んだグリッドデータバンク・ラボは、電力データを使った社会課題解決や産業の発展を目指す有限責任事業組合である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名武田総合病院
業種医療・健康
地域京都市
課題退院後の在宅患者の安否を見守り、異常を早期に検知したい
解決の仕組み在宅患者宅のスマートメーターから30分単位で取得した電力使用量を分析し、入院が必要なレベルの異常や転倒を検知する
推進母体/体制武田総合病院、グリッドデータバンク・ラボ
活用しているデータスマートメーターで取得した30分単位の電力使用量
採用している製品/サービス/技術スマートメーター
稼働時期2019年11月~2020年11月(実証実験の期間)