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リコー、リモートワーク下での従業員管理にデータに基づく指標を導入へ

ANDG CO., LTD.
2022年3月9日

リコーは、リモートワーク下でもマネジャーによるスタッフの管理や対話をスムーズにするために、ネット上でのやり取りからスタッフの状態を可視化する仕組みの導入を進める。同社の事業共創プログラムに参加する東工大発ベンチャーのKBEと共同で可視化のための手法を開発した。社内への実導入および外販を目指す。2021年12月21日に発表した。

 リコーは、リモートワークが定着しつつある中で、マネジャーによるスタッフらの管理業務を対象にしたデジタル化を進めている。社内業務に日常的に使っている「Microsoft Teams」をコミュニケーションの起点とし、非効率な会議を削減し、最適なタイミングでの対話によるアナログなコミュニケーションに打ち込める環境の実現を目指す。

 具体的には、Microsoft Teams上でのチャットなどをデータ分析することで、
情報共有・進捗を確認したり、スタッフらのコンディションを把握したりすることで、定例会議の開催を減らしたり、必要なスタッフに声を掛るきっかけを仕組みとして作ったりする(図1)。スタッフによる情報探索や、評価・フィードバックにもデータを活用する。

図1:リコーが取り組む「マネジメントのデジタル化」の対象

 そのためにメンバーのコンディション状況を正確に把握するための独自のスコアを開発した。同スコアを使い、スタッフに自己成長のためのフィードバックを自動で返し、マネジャーにはスタッフ把握のために自動検知した情報を提供する(図2)。

図2:Microsoft Teams上での行動データを分析し、活動状況を独自のスコアで可視化する

 2021年10月からは、デジタル戦略部 カスタマーサクセス推進センター DX価値創造室が、社内の実データを使って同スコアの活用の実証実験にも取り組んでいる。

マネジメントのデジタル化を目的に、リコー社内で運用したresearcHRの本番データを用いた実証を経て得た結果から、業務で日常的に使うMicrosoft Teamsの投稿内容を分析するため、具体的な対策を講じる手助けとなる。

 スコアの開発に向けては、組織内で「誰が・何を知っているか」を集約・共有できるマネジメント支援ツール「researcHR(リサーチャー)」をMicrosoft Teamsに追加して利用している。

 researcHRは、東京工業大学発のベンチャー企業であるKBEが開発するツール。KBEは、リコーが社内外の起業家の成長を支援し事業共創を目指すために展開するプログラム「TRIBUS 2020」に参加しおり、それをきっかけにresearcHR をリコー社内で使用し、共同で機能を改善してきた。

 リコーによれば、リモートワークを進める中で、マネジャーとスタッフ双方の働き方に関する課題が浮かび上がってきた。「マネジャー主導による会議や1on1での対面コミュニケーションが中心。会議も進捗確認が中心になりがちで、カレンダーが会議ばかりで埋まっている」「1on1で対話して確認するまでメンバーの状況が分からない」「期末評価や担当者探しの際には、マネージャーの記憶に頼るしかないが、リモートでそれも失われつつある」などだ。

 リコーは今後、マネジメントのデジタル化の検証を進め、上記のような課題を解決すると共に、そこで得たノウハウ・ナレッジを基にサービス化を図り、早期の外販を目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名リコー
業種製造
地域東京都大田区(本社)
課題リモートワークが定着していく中で、従来のアナログでのチームマネジメントが残っており、マネジャーやスタッフらの働き方に支障を来している
解決の仕組み日常業務で使う「Microsoft Teams」上での行動データを分析し、活動状況や社内の知識保有者を可視化し、マネジメントや情報検索などの最適化を図る。そのために、メンバーのコンディションを把握するための独自スコアを開発する
推進母体/体制リコー、KBE
活用しているデータ社内のMicrosoft Teamsへの投稿データなど
採用している製品/サービス/技術マネジメント支援ツール「researcHR(リサーチャー)」(KBE製)
稼働時期2021年10月(独自スコアを使った社内実証の開始時期)