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イトーヨーカ堂ら、食品ロスの削減に向けダイナミックプライシングや購買行動変容などを実証実験

DIGITAL X 編集部
2022年4月12日

イトーヨーカ堂らは、食品ロスを削減するためにサプライチェーンの全域を対象にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術を適用するための実証実験を実施した。適時な販促策の実施やダイナミックプライシングの実現を目指す。実験に参加したシルタスが2022年1月11日に発表した。

 食品ロスの削減を目的に食品流通のためのサプライチェーンを対象にしたIoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術の実証実験は、東京墨田区にあるイトーヨーカ堂の曳舟店において、2022年1月12日から2月28日にかけて実施された(図1)。食品のためのサプライチェーン「フードチェーン」の効率化方策を検討するSFC構想研究会の活動の一環である。

図1:食品流通のサプライチェーンを3つの領域に分けて実験を実施した

 実験ではサプライチェーンを(1)産地から小売店舗まで、(2)小売店舗、(3)小売店舗から消費者までの3つの領域に分け、それぞれの領域での課題を対象に検証した。

 産地から小売店舗まででは、流通状況に合わせた適時な販促が可能かどうかを検証した。商品に電子タグを付け流通経路を追跡しながら、流通状況に合わせた販促策を店頭および消費者が持つスマートフォンに対し展開した。消費者には青果物の収穫時の状態や形・色味などの情報も伝え、それらに応じた価格を設定した(図2)。

図2:電子タグを使って商品の流通状況を把握するとともに、商品情報を消費者に伝える

 小売店舗ではダイナミックプライシングの導入を想定し、売上高や粗利、売り切り期間への影響を検証した。電子棚札を使い、賞味期限や消費期限に応じて商品の値段を変更した(図3)。

図3:電子棚札を使って賞味期限や消費期限に基づくダイナミックプライシングを実施した

 小売店舗から消費者の領域では、レコメンド(お薦め)による購買行動の支援を検証した。食事管理用アプリケーションを使い、モニター参加する消費者が持つスマートフォンに対し、買い物リストや栄養バランスを考慮した商品をレコメンド情報を送信した(図4)。

図4:実証実験に使った食事管理アプリケーションの画面例

 これらのほか、レシピ提案による食品の優先消費への影響や、消費・廃棄データを活用した需給予測、ゲーミフィケーションによる健康的な買い物の支援と購買促進についても検証した。

 実験にはヨーカ堂のほか、今村商事、サトー、シルタス、凸版印刷、日本総合研究所、日立ソリューションズ西日本の6社が参加した。各社の役割を表1に示す。

表1:実証実験における参加7社の役割
会社名役割
イトーヨーカ堂実証実験の実施場所の提供、実証実験の運用
今村商事消費者向け半自動消費・廃棄登録システムの構築。セルフスキャンアプリと「SIRU+」との連携システムの構築
サトーダイナミックプライシングシステムの構築。電子棚札およびBluetoothタグとそれを解析するためのプラットフォームの提供
シルタス食事管理アプリケーション「SIRU+」をベースとした消費者向けアプリケーションの構築
凸版印刷電子チラシサービス「Shufoo!」とデジタルサイネージを利用した販促の実施と、アクティブタグ「ZETag」の提供
日本総研実証実験の全体設計と推進
日立ソリューションズ西日本重量センサーの提供
デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名イトーヨーカ堂
業種流通・小売り
地域東京都墨田区(イトーヨーカ堂 曳舟店)
課題食品ロスを削減したい
解決の仕組みサプライチェーンにIoT技術を適用し、購買データと消費・廃棄データを連携させることで適時の販促策やダイナミックプライシングにより消費者の購買行動を変える
推進母体/体制SFC構想研究会、イトーヨーカ堂、今村商事、サトー、シルタス、凸版印刷、日本総合研究所、日立ソリューションズ西日本
活用しているデータ青果物の状態や賞味・消費期限、値段などの情報、消費者の購買・買い物リストの情報、販売実績など
採用している製品/サービス/技術電子タグ、電子棚札、デジタルサイネージ
稼働時期2022年1月12日~2月28日(実証実験の期間)