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昭和電工、半導体材料の配合探索を量子コンピューティング技術を使って数十秒に短縮

DIGITAL X 編集部
2022年5月9日

昭和電工は、半導体材料の最適な配合の探索にかかる時間を、量子コンピューティング技術を使えば数十秒に短縮できることを実証した。成果はグループの素材開発に応用する。AI(人工知能)技術だけを使った場合では数十年以上かかるという。2022年2月10日に発表した。

 昭和電工が実証したのは、半導体材料の配合を探索するのに量子コンピューティングの技術を活用する手法。同用途のAI(人工知能)モデルと組み合わせることで、配合の種類と量を限定した条件下での探索時間を、AIモデルのみの場合と比べ、約7万2000分の1に相当する数十秒に短縮できた(図1)。同時に材料の性能を約30%高められたという。

図1:半導体材料配合の最適化イメージ

 半導体材料は樹脂やフィラー、添加剤など様々な材料を配合して作成する。昭和電工が取り組む開発テーマでは、配合の組み合わせ数は理論上、10の50乗を超えるという。それをAI技術を使って最適な組み合わせを探索するには数十年以上がかかる。そのためこれまでは、一部の組み合わせだけを抽出し探索していた。今後は、今回の成果をグループの素材開発に応用する。

 量子コンピューティング技術としては、量子技術に着想を得た複雑な計算を高速に処理するために富士通が開発した「デジタルアニーラ」を利用した。連携させたAIモデルは、統計力学の解析手法である「インジングモデル」を使って表現した。

 昭和電工グループは、「統合新会社の長期ビジョン」において、基礎研究の柱の1つとしてAI・計算科学に注力している。今回の成果は、同社が掲げている「考える化学」を「混ぜる化学」に適用した事例になるとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名昭和電工
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題半導体材料の最適な配合の探索に要する時間を短縮したい。AI技術単独では、すべての組み合わせを探査するのに数十年以上かかるため、一部を抽出するしかない
解決の仕組み自社で独自に開発したAIモデルと複雑な計算を高速に処理する量子コンピューティング技術を連携する
推進母体/体制昭和電工
活用しているデータ半導体材料の配合の組み合わせに関する情報
採用している製品/サービス/技術量子コンピューティング技術「デジタルアニーラ」(富士通製)、統計力学の解析手法である「インジングモデル」上に構築したAIモデル(昭和電工製)
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