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鹿島建設、オフィス環境やリモートワークが生産性やWell-beingに与える影響などを検証

DIGITAL X 編集部
2022年5月16日

鹿島建設は、オフィス環境や働く環境の違いによる生産性やWell-being(幸福)に与える影響を検証するための実証実験を実施した。草木など自然の要素や光や音などの環境要素の有無が生産性やストレスなどに与える影響を図り、それを判断するための指標を確立するのが目的だ。ワークスペースの管理基盤を提供するACALLが2022年2月2日に発表した。

 鹿島建設が実施したのは、オフィスなど働く環境が、働く人の生産性やウェルビーイング(幸福)の変化、ストレスの増減にどう影響するかを調べるための実証実験。オフィス環境やリモートワークなどを評価するための客観的な指標の確立が目的だ。2022年2月1日から2月28日まで実施した。

 実験では、ワークスペースの管理基盤を提供するACALLの東京オフィス内に両者が「そと部屋」と呼ぶ実験空間を構築した(写真1)。そと部屋は、草木など自然の要素と、光や音などの能動的な環境制御を融合させた空間だ。東京オフィスのスタッフ50人が、そと部屋で働いている時の状態と、それ以外の環境で働いている時の状態を比較する。

写真1:ACALLの東京オフィス内に設置した「そと部屋」の外観

 スタッフの状態は、心電位や脈波、加速度などのバイタルデータを取得・収集し、それらの変化を自律神経指標などで把握する。働く環境によるストレスの増減や生産性の変化についてはアンケートで調査・研究する。他に在席状況などからスタッフの利用率も分析する。

 在席状況などは、ACALLのワークスペース管理基盤「WorkstyleOS」で把握する。東京オフィスだけでなく、シェアオフィスや自宅といったワークスペースもつなぎ、リモートワークなどで分散するオフィス環境を想定した働きやすさを追求する。

 鹿島建設ではこれまでも、そと部屋での休憩にはリラックス効果や知的生産性の向上が期待できることや、打ち合わせ時には独創性のあるアイデアが出やすいことなどを研究してきた。だが、観察対象者が実際の業務につきながら調査するのは今回が初めてだという。

 今回構築した、そと部屋の設計には、緑など自然の要素を室内空間に取り込む「バイオフィリックデザイン」を採用している。緑や木製の家具など、自然の要素を近景・中景・遠景にバランスよく配置することが、視覚・触覚・嗅覚に直接的な効果を与えるほか、生物と親しむことによる安らぎ刺激の効果があるとの考え方である。

 そのために今回、(1)空からの光を室内に模擬する天井装置「スカイアピアー」や、(2)屋外の音風景を室内に取り込む音場制御装置「サウンドエアコン」などを導入している。

 スカイアピアーは、空の見え方の特徴を再現する天井。光源から色と明るさのみが知覚される「開口色」を天井に映し、天井を天空と錯覚させる。開放感を高めながらも、実際の屋外のようにPCの画面が見えづらくならないよう設計しているという。時間の経過によって色を変化させ、日中や夕暮れなども疑似的に再現する。

 サウンドエアコンは、地域に特有の音風景を室内に取り込むことで、窓を開けたときに感じられる屋外との一体感や心地良さを演出する装置。屋外での粗々しい要素は抑制しつつ、開放感とリラックス効果を高められるという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名鹿島建設
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題リモートワークなどで働く場所が分散し、それぞれの環境が異なることが生産性やWell-being、ストレスなどに与える影響を把握したい
解決の仕組み自然環境を取り入れた独立型の作業空間を設置し、その空間を使用している時と使用していない時の生産性などの変化を検証し、客観的な指標を確立する
推進母体/体制鹿島建設、ACALL
活用しているデータ従業員のバイタルデータ、ストレスなどに関するアンケート結果など
採用している製品/サービス/技術バイオフィリックデザインによるオフィス環境「そと部屋」(鹿島建設製)、ワークスペース管理基盤「WorkstyleOS」(ACALL製)
稼働時期2022年2月1日〜2月28日(実証実験の実施時期)