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カルビーポテト、ジャガイモへの灌水を環境データで最適化する実証実験を実施

DIGITAL X 編集部
2022年5月18日

カルビーグループのカルビーポテトは、ジャガイモへの灌水を環境データを使って管理する実証実験を実施した。干ばつ時などにもジャガイモを安定して調達するのが目的だ。環境データの収集/分析サービスを提供したソフトバンクが2022年2月16日に発表した。

 カルビーグループでジャガイモの供給を担うカルビーポテトが実施したのは、ジャガイモへの灌水を環境データを使って最適化する仕組みの実証実験。干ばつなど気象変動の影響を受けてもジャガイモの品質を保ったまま安定的に調達できるようにするのが目的だ。北海道にある同社および契約生産者が持つ圃場(ほじょう)で2021年6月から10月にかけて実施した。

 実験では、ジャガイモの栽培を降水だけに頼る「慣行区」と、環境データを基にかん水を管理する「試験区」に分けて、それぞれの収量を比較した(写真1)。結果、試験区では慣行区と比べてジャガイモの収量が最大1.6倍に増加した。

写真1:試験区(青枠)と慣行区(緑枠)の様子(左)と、それぞれの品種別ジャガイモの収量

 慣行区と試験区の双方で、IoT(モノのインターネット)センサーを使用して土壌体積含水率などをモニタリングした(写真2)。試験区では、土壌の水分が一定の数値を下回わると、契約生産者が持つスマートフォンに通知し灌水作業を促した。データの収集・分析には、農業IoTサービス「e-kakashi(イーカカシ)」(ソフトバンク製)を使用した。

写真2:圃場に設置したIoTセンサーとなる「e-kakashi」の端末

 灌水の状況は、環境/作業のデータを農業向けBI(ビジネスインテリジェンス)ツールで分析した。作業内容やスケジュールは作業管理アプリケーションで管理し、作業記録を複数人で共有しタスクの漏れや重複を防いだ。

 これらの取り組みにより、圃場のデータや栽培作業を可視化したり管理・共有したりが可能になり、科学的な栽培と効率的な作業管理・指導をするための環境整備につながったとしている。

 北海道の一部地域では近年、干ばつが発生した年にジャガイモの収量が減少するケースがある。カルビーポテトでは、2019年から干ばつなどの環境下でも安定した調達ができるようデータに基づいた栽培を始めるなど科学的な栽培を目指しているという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名カルビーポテト
業種農林水産
地域北海道地区
課題干ばつなど気候変動の環境下でもジャガイモの質を落とすことなく安定して調達したい
解決の仕組み圃場のデータや栽培作業のデータを所得・分析し、圃場の水分が一定数値を下回ると通知し灌水を促したり、栽培状況を可視化・管理・共有し、科学的な栽培と効率的な作業管理・指導ができるようにする
推進母体/体制カルビーポテト、ソフトバンク
活用しているデータ土壌体積含水、作業内容、作業スケジュールなど
採用している製品/サービス/技術農業用IoTサービス「e-kakashi」(ソフトバンク製)
稼働時期2021年6月~10月(実証実験の期間)