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スズケン、物流拠点での伝票入力と棚卸作業へのAI技術による自動化を実証実験

DIGITAL X 編集部
2022年5月19日

医療用医薬品・機器のスズケンが、物流拠点における伝票入力と棚卸作業を自動化するため、AI(人工知能)技術を利用する実証実験を、2021年7月から11月にかけてNECと共同で実施した。入荷伝票への入力の90%以上、梱包品の棚卸作業では100%を、それぞれ自動化できたという。2022年2月17日に発表した。

 医療用医薬品の販売や医療用機器の製造を手掛けるスズケンが実施したのは、伝票入力と棚卸作業にAI(人工知能)技術を使って自動化するための実証実験。2024年3月の稼働を予定する卸事業のための物流拠点「首都圏物流センター」での自動化・省人化を図るための検証だ。2021年7月から11月にかけてNECと共同で実施した。

 新設する首都圏物流センターでは、医薬品の適正流通ガイドラインに準拠した物流体制を構築するとともに、物流業務の自動化・省人化によって物流品質と業務効率の向上を目標にしている。

 今回実験したのは、(1)入荷伝票への入力と(2)梱包品の棚卸作業の2つ。入荷伝票への入力では、AI技術を使ったOCR(Optical Character Reader:光学文字認識)による読み取りを検証した(図1)。

図1:入荷伝票入力を自動化する実証実験の概要

 OCRは、6000枚超の納品伝票画像を使って学習させたことで、従来のOCRでは難しかった記載文字の認識率が向上したという。OCRでは認識できない伝票は、担当者がリモートで入力できる仕組みも整えた。遠隔地から複数の物流センターでの読み取り作業に対応できるとしている。結果、439書式中204書式において90%以上を自動で読み取れ、入荷伝票への入力に要する時間を75%削減できることを確認した。

 梱包品の棚卸作業では、ベルトコンベアのライン上にバーコードリーダーを設置することで、従来は人が帳票やハンディターミナルなどでこなしてきた作業を100%自動化した(図2)。

図2:梱包品の棚卸を自動化する実証実験の概要

 バーコードリーダーは梱包品の画像データも取得することで、事前に画像として登録したマスターデータと照合して、梱包品を個別に認識して包装の変更を確認できるようにした。梱包品の側面に記載されているロットや使用期限、賞味期限などの情報も画像データからOCRで読み取り、システムに自動で登録する。

 スズケンとNECは今後、実証実験で得た知見を生かし業務効率をさらに高めるとともに、ロボットによる運搬作業やフォークリフトの自律・遠隔制御により物流センターの自動化・省人化を進めていく。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名スズケン
業種物流
地域名古屋市(本社)
課題2024年3月の稼働を予定する卸事業のための物流拠点「首都圏物流センター」における作業の自動化・省人化を進めたい
解決の仕組み伝票をAI技術を使ったOCRを用いて読み取り、梱包品の棚卸は物体認識技術を用いて認識する
推進母体/体制スズケン、NEC
活用しているデータ入荷伝票や梱包品の画像データ
採用している製品/サービス/技術AIを活用したOCR、物体認識技術(いずれもNEC製)
稼働時期2021年7月~11月(実証実験の期間)