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千葉県市原市、フレイルの検知に電力データを利用する実証実験を開始

DIGITAL X 編集部
2022年5月26日

千葉県市原市は、高齢者のフレイル状態の改善や健康状態の維持にスマートメーターで取得する電力データを利用する実証実験を2022年4月から実施している。電力データをAI(人工知能)技術で分析することで高齢者のフレイルを検知したり健康状態を改善したりするのが目的だ。モニタリングと健康改善プログラムを統合したサービスとして提供したい考えである。2022年3月17日に発表した。

 千葉県市原市が実施しているのは、高齢者の身体的機能や認知機能の低下が見られる状態を指すフレイルや、日常の生活行動の変化をモニタリングする仕組みの実証実験(図1)。スマートメーターで取得する電力データをAI(人工知能)技術で分析したうえで、高齢者が必要とする運動指導や食事、訪問による見守りといった健康改善プログラムを提供することが、高齢者のフレイル状態の改善や健康状態の維持につながるかどうかを検証する。

図1:電力データから高齢者のフレイルの検知や改善策を提示する実証実験のイメージ

 実験は、「フレイル予防・改善サービス実証事業」として実施する。対象は、市原市内の青葉台団地に居住する65歳以上かつ独居世帯で、フレイル、プレフレイル、ノンフレイルの状態にある高齢者それぞれ10人とし、2022年4月から12月まで実施する。

 実験には、市原市のほか、東京大学大学院情報学環・学際情報学府、中部電力とIIJの合弁会社であるネコリコ、東大発ベンチャーでIoT(Internet of Things:モノのインターネット)サービスを手がけるJDSC、第一生命保険、RIZAP、グローバルキッチンが参加する。

 東大大学院情報学環とネコリコ、JDSCは、電力データとAI技術を使ったフレイルリスクの検知を共同研究している。今回、その技術を高齢者のフレイルの変化を可視化するプラットフォームの構築に利用する。

 第一生命は見守り訪問を、RIZAPは健康チェックや運動指導、リモート運動プログラムの提供を、グローバルキッチンは栄養相談や食事提供を、それぞれ担当する。

 これまでも市原市は、東京大学大学院情報学環らと連携し、フレイル予防・改善サービス実証事業を全国に先駆けて開始していた。同市は「いちはら高齢者福祉共生プラン」を策定し、その中でフレイル対策を重点施策に位置付けている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名千葉県市原市
業種公共
地域千葉県市原市(青葉台団地)
課題高齢者のフレイル予防および健康状態の改善に寄与するサービスを継続的に提供したい
解決の仕組み電力データをAI技術で分析し、高齢者のフレイルの検知・モニタリングを実施するとともに、個々の高齢者に適した運動指導や食事の提供、見守り訪問などのサービスを提供する
推進母体/体制千葉県市原市、東京大学大学院情報学環・学際情報学府、ネコリコ、JDSC、第一生命保険、RIZAP、グローバルキッチン
活用しているデータ高齢者宅の電力データ
採用している製品/サービス/技術スマートメーター、AI技術
稼働時期2022年4月~12月(実証事業の実施時期)