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三陽商会、リアル店舗とECサイトの顧客データ統合しCXの向上を実証実験

DIGITAL X 編集部
2022年9月5日

三陽商会は、リアル店舗とEC(電子商取引)サイトの顧客データを統合しCX(Customer Experience:顧客体験)を高めるための実証実験に取り組んでいる。OMO(Online Merges with Offline)により顧客に最適な商品を提案するのが目的だ。2022年4月13日に発表し、2022年4月22日から実施している。

 三陽商会が実験するのは、リアル店舗とEC(電子商取引)サイトの融合を図るOMO(Online Merges with Offline)の仕組み(図1)。横浜市にある「ららぽーと横浜店」と、同社のEC(電子商取引)サイト「CRESTBRIDGEオンラインストア」の、それぞれを利用する顧客の行動データを統合し、CX(Customer Experience:顧客体験)を高めるのが目的だ。2022年4月22日に開始した。

図1:実店舗とECサイトのデータを統合しCX(Customer Experience:顧客体験)の向上を図る

 三陽商会では顧客接点が分散する生なかで、顧客体験の分析が課題になっている。リアル店舗のデータをECサイトでのコミュニケーションなどにも役立て、オンラインでも商品知識が豊富なスタッフが接客しているようにするなどで、CXを高めていく。

 リアル店舗での行動データの取得では、顧客にチェックインを求める。スマートフォンなどでQRコードを読み取ってもらい、かつデータの利用許諾への同意を得る。その後、店内では3D(3次元)距離センサーを使って、顧客の動線などを取得する。店舗での行動とECサイトでの商品閲覧などのデータを掛け合わせて分析し、顧客の好みや興味に応じた商品を提案したりイベント/キャンペーンを案内したりする。

 OMOの基盤には、データ統合のクラウドサービス「OMO OnBoard」(NRIデジタル製)を採用し、店舗における顧客行動データを解析する。ECサイトの行動データの解析およびOMOのデータ統合には「KARTE(カルテ)」(プレイド製)を利用する。

 今後は、店舗の在庫データとのリアルタイムな統合に取り組む。顧客の行動や、ライフスタイル・年齢・体型などの顧客情報に在庫状況も複合的に組み合わせることで、より顧客の歯垢に適した来店促進や商品提案ができるようにする。

 さらにKARTEを使って顧客行動を細かく可視化し、顧客に対する洞察を深掘りできるようにもする。デジタルマーケティングだけでなく、商品の開発や店舗体験の設計などにもデータを活用し事業を推進したい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三陽商会
業種流通・小売り
地域東京都新宿区(本社)
課題オフラインおよびオンラインのチャネルが増え、顧客接点における体験分析が難しい
解決の仕組みリアル店舗とECサイトにおける顧客の行動データを統合して解析する
推進母体/体制三陽商会、NRIデジタル、プレイド
活用しているデータ実店舗における顧客の行動、ECサイトにおける顧客の商品閲覧などの情報
採用している製品/サービス/技術データ統合のクラウドサービス「OMO OnBoard」(NRIデジタル製)、Webサイトの顧客体験管理基盤「KRATE」(プレイド製)
稼働時期2022年4月22日(実証実験の開始日)