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アイシン、目視検査工程にエッジAI使う自動判定システムを導入

DIGITAL X 編集部
2022年12月5日

自動車部品メーカーのアイシンは、外観や不良品を検査する目視工程に自動判定システムを導入した。AI(人工知能)技術を搭載するエッジデバイスを導入し、オープンソースのツールを使って管理・運用することで、システムの安定稼働と低コスト化を図ったという。同システムの構築を支援した菱洋エレクトロが2022年9月1日に発表した。

 自動車部品メーカーのアイシンが導入したのは、生産ラインにおける目視による製品検査を自動で判定するシステム(図1)。外観検査や計器監視、欠品などを製品を撮影した画像をAI(人工知能)技術を使って認識し判定する。スマートファクトリーに向けた取り組みの1つで、アイシン自身で運用することを目指している。

図1:目視による検査工程にAI搭載のエッジデバイスを設置し製品判定を自動化した

 アイシンはこれまでも、検査工程の自動化するシステムを導入してきた。だが、検査用アプリケーションソフトウェアの動作が不安定で生産ラインがたびたび停止していた。AIシステムが動作するデバイスも高価で、そのデバイスと検査用ソフトウェアを別々に管理していたため不具合やアップデートの対応に手間がかかることが課題になっていた。

 今回導入したシステムでは、画像を撮影するカメラ側でAIアプリケーションを動作させるエッジデバイス形式にした。AIアプリケーションのカタログ機能により、現場が必要とするアプリをエッジデバイスに配付する。エッジデバイスとAIアプリは、オープンソースツールで一括管理することで動作の安定化を図り、検査システムを原因とする生産ラインの停止を解消できたとする。

 検査用カメラは、菱洋エレクトロがエッジデバイス「NVIDIA Jetson Xavier NX」(米NVIDIA製)を提供し開発。アプリケーション管理に「Kubernetes(クーバネティス)」を、その運用基盤として「Rancher(ランチャー)」をそれぞれ採用し、両者の活用方法を菱洋エレクトロの子会社であるスタイルズがレクチャーし、アイシン自身が運用できるよう支援した。

 Kubernetesは、機能ごとに開発した「コンテナ」を管理し、コンテナを組み合わせてアプリを実現する仕組み。コンテナ単位で特定の機能だけをアップデートできることから、アプリに不具合があっても生産ラインを止めることなく修正・更新ができる。デバイスが故障し予備デバイスと置き換えた際は、ネットワーク経由でアプリを自動で復元することで、生産ラインの停止時間を抑える。

 アイシンのグループ生産技術本部 生産革新推進部 主査の戸田 昌孝 氏は、新システムの導入により「スマートファクトリー構想で目指す姿の1つである『止まらないライン』の具現化を一歩進められた。今後も、センシングデータを元にした『無人化』『不良を作らない』『止まらないライン』の3つの進化・推進に努めていく」と話す。

 同社は『”移動”に感動を、未来に笑顔を。』を経営理念に掲げ、3つの重点経営課題として、「カーボンニュートラル」と「電動化」、それらを支援する「ソフトウェアファースト、DX」に取り組んでいる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名アイシン
業種製造
地域愛知県刈谷市(本社)
課題「スマートファクトリー構想」で「止まらないライン」を目指しているが、検査用ソフトウェアが不安定で自動化システムが原因で生産ラインが止まるようになっていた
解決の仕組み不良などを判定するAIソフトウェアをエッジ側で動作させ、そのソフトウェアを機能単位で管理することで、ソフトウェアに不具合があっても生産ラインを止めずに修正・更新できるようにする
推進母体/体制アイシン、菱洋エレクトロ、スタイルズ
活用しているデータ生産ラインに設置したカメラで撮影する製品の画像
採用している製品/サービス/技術エッジデバイス「NVIDIA Jetson Xavier NX」(米NVIDIA製)、ソフトウェアを機能単位で管理するためのオープンソース「Kubernetes」「Rancher」
稼働時期--