• UseCase
  • 製造

タダノ、クレーン操作の荷振れを抑制する技術を東大・松尾研発のDeepXと開発

DIGITAL X 編集部
2022年12月6日

建設用クレーンを製造するタダノは、移動式クレーンで吊り荷を運ぶ際の荷振れを制御するための技術を、東京大学の松尾研究室発のスタートアップ企業であるDeepXと共同で開発した。DeepXのAIアルゴリズムを用いている。2022年9月5日に発表した。

 タダノが開発したのは、移動式クレーンの作業において、旋回させたブームを停止させたときに生じる吊り荷の振れを抑制するための技術(図1)。AI(人工知能)技術を用いた学習とアルゴリズムによりブームを制御する。クレーン操作における旋回、起伏、ウインチ操作における荷揺れの軽減に一定の成果を得たとしている。

図1:クレーン操作では吊り荷を目的の場所に移動するには荷物の揺れを抑える必要がある

 クレーンでの荷振れは通常、オペレーターが吊り荷の状態を目視し、吊り荷を降ろす目的地から逆算して留めている。複数の操作レバーを同時に操作する必要があり、技能の習熟に時間がかかる。さらにクレーンのブームは、機械のたわみや風による影響を受けるため、熟練者でも荷振れを抑制しながらの操作は難しいという。

 制御の仕組みは、東京大学でAI技術を研究する松尾研究室発のスタートアップ企業であるDeepXと共同で開発した。荷物の重さと位置、クレーンの状態を表すデータを用いてディープラーニング(深層学習)モデルを学習させ、シミュレーションにより制御アルゴリズムの最適化を図った(図2)。

図2:移動式クレーンの吊り荷の揺れを抑えるAIの開発方法

 今後は、吊り荷の振れの抑制だけでなく、吊り荷を移動させるための軌跡を障害物を認識しながら判断するといった用途にもAI技術を適用したい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名タダノ
業種製造
地域香川県高松市(本社)
課題建設就業者の減少に伴い、クレーンを自在に操作できる熟練オペレーターも減りつつある
解決の仕組みクレーン操作における荷振れを抑えられるようにAIアルゴリズムを用いて制御する
推進母体/体制タダノ、DeepX
活用しているデータ荷物の重さと位置、クレーンの状態を表すデータなど
採用している製品/サービス/技術クレーンの荷揺れを制御するAIアルゴリズム(DeepX製)
稼働時期−−