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NECフィールディング、保守部品の配送計画に量子コンピューティング技術使い立案時間を10分の1に

DIGITAL X 編集部
2022年12月8日

情報関連機器の保守サービスを提供するNECフィールディングは、保守部品の配送計画の立案に量子コンピューティング技術を活用したシステムをNECと共同で構築した。立案に要する時間を従来の10分に短縮できるという。2022年9月9日に発表した。

 NECフィールディングがNECと構築したのは、量子コンピューティング技術を使った配送計画立案システム。保守部品の配送時刻やエリア、部品の種類、配送手段などを条件に、翌日に配送する約50件分の最適な計画を作成する(図1)。配送計画を従来の10分の1の時間で立案できるという。

図1: NECフィールディングが運用を始めた保守部品の配送計画立案システムの概要

 まずは東京23区内の配送を対象に2022年10月から本格に運用を開始。今後は、システムを適用する業務やエリアを拡大し、配送車の削減や配送距離の短縮へつなげたい考えで、配送コストを約3割削減できると見込んでいる。

 2022年2月に実施した実証実験では、熟練作業者が作成する配送計画と同等程度の計画を作成できたとする。量子コンピューティング技術には、大規模な組み合わせ問題を処理する「NEC Vector Annealingサービス」(NEC製)を採用している。

 NECフィールディングは、NEC製や他社製の情報関連機器などを対象に保守サービスを提供している。故障が発生した際にカスタマエンジニア(CE)が客先に出向き保守作業を実施。保守部品の配送では、CEのスキルや到着時間をもとに出動計画を作成し、交通事情を加味しながら決定している。

 だが、配送計画の立案には、緊急対応や定期保守、時間指定といったタイミングに加え、部品の種類・サイズ、トラック・バイクなどの配送手段なども考慮する必要があり、多くの時間を要していた。配送コストを抑えた効率的な配送計画を立案できる人材が限られることも課題になっていた。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名NECフィールディング
業種サービス
地域東京都港区(本社)
課題保守部品の配送計画の立案にはさまざまな条件を加味する必要があり、多くの時間を要するとともに、配送コストを抑えた効率的な配送計画を立案できる人材が限られていた
解決の仕組み配送計画の立案に組み合わせ問題の解決に向く量子コンピューティング技術を活用する
推進母体/体制NECフィールディング、NEC
活用しているデータ保守部品の配送時刻や配送エリア、部品の種類、配送手段など配送計画の立案に必要な情報
採用している製品/サービス/技術量子コンピューティング技術「NEC Vector Annealingサービス」(NEC製)
稼働時期2022年10月(東京23区を対象にした運用開始時期)