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アシックス商事、機能性シューズの効果をセンサー付き中敷きで測定し実証

DIGITAL X 編集部
2022年12月9日

アシックス商事は、歩き方の改善や健康増進に向けた機能性ウォーキングシューズの効果を、センサー機能を持つ中敷きを用いて測定する実証実験を実施した。一般的なシューズと比べ、歩幅や移動速度の向上が確認できたという。2022年9月13日に発表した。

 アシックス商事が実施したのは、同社の機能性ウォーキングシューズ「KNEESUP(ニーズアップ)」の効果を測る実証実験。歩行状態を測れるセンサーを内蔵する中敷き(インソール)をKNEESUPに装着し、日常生活における歩行が、正しい歩き方や運動パフォーマンスに与える変化を検証した(写真1)。2022年4月1日から5月23日まで実施した。

写真1:機能性ウォーキングシューズ「KNEESUP(ニーズアップ)」(左)と歩行センサーを備える中敷き「A-RROWG」

 実験に参加したモニターは、男女それぞれ4人の計8人で平均年齢は65.6歳だった。事前の計測会に参加した後、KNEESUPを履いて日常生活を送った。センサーで取得できる歩行パラメータを、事前に指定した5つの時間帯に自動計測し、1日最大3回分のデータを解析対象にした。

 KNEESUPは、ひざ関節のバランスをとり負担を軽減する機能を持つウォーキングシューズ。靴底のかかと部内側に熱可塑性合成樹脂プレート「MCCS」を装着し着地時にひざ関節を外側から内側へ誘導することで、足が進行方向に自然と出るようになるという。

 検証の結果、一般的なシューズと比較して、KNEESUP着用時は「歩幅をしっかり取りながら速く真っ直ぐ歩く」という有効性が実証された。具体的には、歩行速度、歩幅、つま先の向きの数値に良化が見られたという(図1)。

図1:計測会当日における「KNEESUP」と一般靴の歩行パラメータ比較(n=8)

 モニターの感想としては、「感覚的に歩行能力が上がり、姿勢が改善されている」という評価が多く得られたとしている。

 ただし、KNEESUPを履き続けても、運動パフォーマンスは習慣的に履く前の状態に戻る傾向があることも示唆された。その原因をアシックス商事は、運動学習による改善動作の定着が不十分だった可能性があるとみている。身についた歩行スタイルを自力で修正するには、さらに時間がかかり、機能性シューズに加え、改善に向けた取り組みを継続するモチベーションの維持も重要だとしている。

 歩行データの測定には、NECが開発する歩行センシングインソール「A-RROWG(アローグ)」を使用した(写真1)。専用のスマートフォン用アプリケーションを使えば、歩行状態の確認や、歩行改善のためのトレーニングメニューの提案が受けられる。

 アシックス商事は今後、機能性シューズの開発や効果をその検証を続けるとともに、足形や歩行年齢を計測する消費者向けイベントなども実施する予定である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名アシックス商事
業種製造
地域兵庫県神戸市(本社)
課題歩行改善のための機能性シューズを開発・販売しているが、その効果を数値として可視化したい
解決の仕組みセンサー機能を持つ中敷き(インソール)を使って、日常利用における効果を検証する
推進母体/体制アシックス商事、NEC
活用しているデータ歩行速度や歩幅、つま先の向きなどの歩行データ
採用している製品/サービス/技術機能性ウォーキングシューズ「KNEESUP」(アシックス商事製)、歩行センシングインソール「A-RROWG」(NEC製)
稼働時期2022年4月1日~5月23日(実証実験の期間)