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MUFG傘下の関西イノベーションセンター、観光客への天候の影響を人流・位置情報・気象データから分析

DIGITAL X 編集部
2022年12月12日

MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)傘下の関西イノベーションセンターは、天候が観光客に与える影響を知るために、従来の人流データに位置情報と気象データを組み合わせて分析した。結果、雨天時でも観光客が減少しなかったエリアには、電車など交通手段が充実している、写真撮影に適した観光地があるなどの特徴があった。2022年9月13日に発表した。

 関西イノベーションセンターは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三菱UFJ銀行が観光業に関する課題解決に向けて設立した一般社団法人。イノベーション創出拠点「MUIC Kansai」を運営する。今回、同拠点の活動の一環として、観光施策の策定に気象変動を考慮するための動態分析を実施した。これまでも利用してきた人流データに、観光客の位置情報と気象データを組み合わせることで、従来は困難だった天候による観光客の動態の変化を明らかにするのが目的だ。

 分析は、京都府内をモデルケースに実施した。エリアごとの観光客数を分析し、天候の別に観光客が訪れるエリアや、雨の日に人気となる観光コンテンツを明らかにした。その結果、雨の日には観光客が全体的に減少する傾向があったが、京都市西京区や福知山市など比較的減少しなかったエリアが見つかった。

 それらエリアの特徴としては、(1)交通手段が充実していること、(2)写真に映える観光地を備えることが示唆された。

 交通手段については、京都府の鉄道路線図を照らし合わせると、電車で移動できるエリアは比較的天候の影響を受けにくい傾向があった。一方で、雨の日の京都府内の幹線道路の通行量は減少が大きく、晴れの日と比べ約75%減少していた(図1)。

図1:天候別に見た幹線道路における通行量を分析した結果

 写真に映える観光地については、「苔寺」や「あじさい」「森」といったキーワードで示される観光スポットがあるエリアは、観光客の減少が少ない傾向があった。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の投稿で「雨に映える」などのコメントが見られるスポットは、雨による傾向変化への影響が少ないことが分かった。

 今回の分析は、位置情報に紐づくデータを収集するナイトレイと、日本気象協会と共同で実施した。同センターは、京都府における今後の観光施策策定に関する助言をレポートにまとめた。今後は、他のエリアでも動態変化を分析し、観光施策立案に貢献したいとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名関西イノベーションセンター
業種サービス
地域大阪市中央区
課題観光施策の策定に気象変動による観光客の動向への影響が盛り込まれていない
解決の仕組み従来の人流データに、位置情報と気象データを組み合わせることでエリアごとの観光客数を天候別に分析する
推進母体/体制関西イノベーションセンター、ナイトレイ、日本気象協会
活用しているデータ人流データ、位置情報データ、気象データ
採用している製品/サービス/技術--
稼働時期--